パキスタンは、人気の動画アプリTikTok(ティックトック)が不道徳で好ましくないコンテンツをホスティングしているとする訴状を審査した結果、TikTokを再び同国内で禁止した。
カイバル・パクトゥンクワ州の州都ペシャワール市の高等裁判所は現地時間3月11日、同国の通信当局であるパキスタン通信規制庁(Pakistan Telecom Authority、PTA)に対し、TikTokの利用を禁止するよう命じた。
PTAは11日夜に発表した声明の中で、当局はこの命令に従っており、「サービスプロバイダーに対し、TikTokアプリへのアクセスを直ちにブロックするよう指示を出した」と述べている。
モバイルデータ分析会社App Annieによると、TikTokのパキスタンにおける先月のユーザー数は約3300万人だった(データは業界幹部がTechCrunchと共有したもの)。南アジアに位置する同国には、約1億人のネットユーザーがいる。
地元メディアの報道によると、ペシャワール高等裁判所のQaiser Rashid Khan(カイザー・ラシッド・カーン)最高裁判事は、TikTok上の一部の動画を「パキスタン社会では許容できない」と評し、これらの動画は「下品な行動を広めている」と述べたという。
TechCrunchの取材に対し、TikTokはコメントを差し控えた。
ByteDance(バイトダンス)の同アプリがパキスタンで禁止されたのは、今回が初めてではない。PTAは2020年にも、数カ月にわたって問題を警告したにもかかわらず、プラットフォーム上の一部の動画の性質に関する懸念に対処しなかったとして、TikTokを一時的に禁止したことがある。
今回のパキスタンの動きは、隣国のインドが昨年TikTokを禁止したのに続くものだ。インドではサイバーセキュリティ上の懸念からTikTokをはじめ、中国とつながりのある200のアプリが最終的に禁止された。禁止される前、TikTokは世界第2位のインターネット市場であるインドで2億人以上のユーザーを獲得しており、同国はTikTokにとって最大の海外市場だった。
インドと同様、パキスタン政府も近年、同国内で運営されているデジタルサービスのコンテンツに対する管理を強化しようとしている。
インドを主要な海外市場としている世界のハイテク企業の多くは、インド政府のソーシャルメディアに関する新規制についてはあまり騒いでいないが、2020年末にはパキスタンで団結し、パキスタン政府が提案したルールをめぐって同国から撤退すると脅した。
Asia Internet Coalition(AIC)と呼ばれる業界団体を通じてテック企業のグループは2020年11月に、インターネット企業を対象としたパキスタンの新法の範囲に「憂慮」していると述べた。AICは、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Twitter(ツイッター)に加えて、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)、LinkedIn(リンクトイン)、SAP、Expedia Group(エクスペディア)、Yahoo(ヤフー)、Airbnb(エアビーアンドビー)、Grab(グラブ)、楽天、Booking.com(ブッキング・ドットコム)、LINE、Cloudflare(クラウドフレア)を代表している。
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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)