フランスのスタートアップであるPowerZは、100万ユーロ(約1億3000万円)の負債を含む700万ユーロ(約9億1500万)の資金を新たに調達したと発表した。残りは従来のエクイティラウンドだ。PowerZはEdTechスタートアップであると同時に、野心的な目標を持つビデオゲームスタジオでもある。同社は「Minecraft(マインクラフト)」や「Fortnite(フォートナイト)」のように魅力的なゲームを、教育に焦点を当てて作りたいと考えている。
2021年2月、PowerZはPC上でゲームの最初のバージョンをリリースした。コンテンツはまだ多くないが、同社はできるだけ早くイタレーションを開始したかったのだ。6歳以上の子どもを対象としたPowerZは、かわいいドラゴンや魔法の呪文が登場するファンタジーワールドにプレイヤーを連れて行く。
「このアイデアは、まさにハリーポッターのようなものです」と共同創業者兼CEOのEmmanuel Freund(エマニュエル・フロイント)氏は語る。「この世界はとても素敵で、興味深いものです。ホグワーツのように、定期的に戻ってきたくなり、非常に長い時間をかけてストーリーが進行していきます」。
1万5000人の子どもたちがゲームの第1章を試し、彼らは平均して4時間ゲームに没頭したという。フロイント氏は、この数字に満足しているのだろうか。彼は、自分の会社のビジョンが「完全に証明された」と思っていると答えた。
今回のラウンドには、Bpifrance Digital Venture、RAISE Ventures、Bayardが出資した。また、既存投資家のEducapital、Hachette Livres、Pierre Kosciusko-Morizet、Michael Benabou(マイケル・ベナボウ)氏も同社に再び投資している。
ここからは、コンテンツの追加、他のプラットフォームへの展開、新しい言語の立ち上げを行う時期だ。コンテンツについては、同社は他のゲームスタジオと提携していきたいと考えている。新しい島々を作り、若いユーザーに新しいことを学ばせるゲームをデザインする予定だという。Zero Games、Opal Games、ArkRepは「PowerZ」に貢献してくれる初期のサードパーティスタジオとなる。
これらの新しいチャプターがプレイ可能になると、子どもたちは暗算、幾何学、ボキャブラリー、外国語、手話だけでなく、天文学、写真、建築、彫刻、料理、野生動物、ヨガなどの練習ができるようになる。
フロイント氏はいう。「基本的に当社は、パブリッシャーとしての地位を確立したいと考えています。自社で維持したいのは、主なストーリーラインだけです」。
新しいプラットフォームとしては、PowerZは今週、iPadでゲームをローンチする。同社は、PCでのリリースは間違いだったと気づいたのだ。大人はすでに自分がコンピュータを使っていたり、子どもを1人にして使わせたくないと思っている。そのため、PowerZはiPadでスタートし、iPhoneがそれに続く。2022年には、Nintendo Switchや、潜在的には他のゲームコンソールでのリリースも予定されている。
現在このゲームはフランス語でしかプレイできないが、同社は近いうちに英語版のリリースも考えている。
「今のところ、このゲームは完全に無料です。当社には収益化のアイデアがあります。他のゲームと同じように、ビジュアルアイテムをアプリ内で購入できるようにします」とフロイント氏は語った。
さらにロードマップを見てみると、PowerZは非常に野心的な目標を掲げている。フロイント氏は、教育用ゲームはすぐに主流になると考えている。スクリーンは子どもに悪影響を与えるという理由で、この種のゲームは開発したくないという企業も多い。
「ただスクリーンは悪いというだけでは、算数を学ぶためのAmazon(アマゾン)の商品ができてきて、それを使うことになってしまいます。スケールアップできるスクリーン用の教育プラットフォームを開発しなければならないという危機感があります」とフロイント氏は筆者に語った。
PowerZは、できるだけ早く何十万人もの子どもたちにリーチしたいと考えている。そして、FortniteやMinecraftのように、同社はこのゲームが他のもののためのプラットフォームとして機能し、時間をかけて進化していくことができると信じている。
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カテゴリー:EdTech
タグ:PowerZ、資金調達、フランス、ゲーム
画像クレジット:PowerZ
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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)