フィッシング対策のスタートアップInkyが約22億円調達、欧州やアジア、中南米に進出へ

フィッシング対策のスタートアップであるInky(インキー)が、Insight Partnersが主導するシリーズBラウンドで2000万ドル(約22億円)を調達した。調達した資金は、企業の採用を推進し、ヨーロッパ、アジア、中南米を含む国際市場へ拡大するのに役立つだろう。

Inkyは2012年に、電子メールを再発明するという野心的なミッションからスタート(未訳記事)した。そのデスクトップアプリケーションは、ユーザーの受信ボックスをより良く整理しフィルタリングすることに力点を置いていた。その後2018年に、同社はクラウドベースのフィッシング対策テクノロジーに焦点を当てるために、電子メールを改善する取り組みから離れた(Y Combinator記事)。そして同社は1年後には、シリーズAラウンドで560万ドル(約6億1000万円)を調達した。今回のラウンドにより、Inkyが調達した資金総額は3160万ドル(約34億円)になった。

フィッシングはすべての組織にとって絶えることない頭痛の種だ。この攻撃は、ユーザーをだますことに成功することで、電子メールを本物であると考えさせ、個人情報またはパスワードを開示させる。Verizon(ベライゾン)が毎年発行するデータ侵害レポートによれば、すべてのデータ侵害の22%はフィッシングによるものである。これは他のいかなる手段よりも多く使われているものだ。攻撃者はまた、なりすまし電子メールを使用して上長からの指示のふりをして人事部や財務スタッフをだまし(未訳記事)、W-2納税申告書のような機密の従業員ファイルを開示させる。これらのいわゆるビジネスメール詐欺は、企業に年間数十億ドル(数千億円)に達するコストとしてのしかかっている(FBIのレポート)。

Inkyのテクノロジーは、Exchange、Office 365、G-Suiteなどの既存のメールシステムに組み込まれて機能し、受信メールが安全か、異常か、または悪意があるかをユーザーに通知する。同社は機械学習やその他のテクノロジーを使用して、電子メールがスパムなのか、フィッシングなのか、あるいはデータを盗むために使用できるXSS(クロスサイトスクリプト)などの、セキュリティの脆弱性を利用しているものかどうかを検出する。

同社は、平均的な顧客1人に対して毎月数十万件以上の疑わしいまたは悪意のある電子メールをブロックしていると述べている。「このシリーズBの資金調達により、特に企業顧客からの信じられないほどの需要に応えるために必要なリソースが得られます、そして市場開拓の取り組みをグローバルに拡大できるようになるのです」と、Inkyの共同創業者で最高経営責任者のDave Baggett(デイブ・バゲット)氏は語る。

画像クレジット: Getty Images

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(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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