Google Glassは、まだ市場に出てきたわけではない。しかし世間はいったいどういう使い道があるのだろうと大いに期待して、そして議論している。操作をハンズフリーで行える点からすると、歩行中のナビゲーションや人気スポット案内などに便利ではあろう。そういう面でも面白いアプリケーションが出てくると思うが、もうひとつ、エクササイズ方面でも大いに可能性があるのではないだろうか。
この可能性を確信しているのがロンドンのRace Yourselfで、Glass用のフィットネスアプリケーションを世に出す費用として、CrowdCubeというクラウド型株式ファンディングプラットフォームを通じて10万ポンドの資金を調達した。
Race Yourselfが世に出そうとしているアプリケーションはGlassFitという名前だ。RunKeeperや、Nike Fuel Bandのように、エクササイズの記録をとったり、あるいはモチベーションを高めるのに用いる。ランニングなどのエクササイズにゲーミフィケーションの要素を持ち込み、Glassの特性を活かして拡張現実の面も強化しようとしている。たとえば、自己ベストを記録した自分との仮想レースなどということも行える。あるいは3ヵ月前の平均記録との対戦などということもできる。もちろんソーシャル機能を使って、友人のタイムと競い合うということもできるわけだ。
自転車でも同様の仕組みを利用する。もちろん、加速中の様子を再現する心配りもある。また「勝負」に熱中するあまり、信号無視をしてしまわないような仕組みも組み込まれている。取り敢えず、Race YourselfはGlassFitにたくさんのミニゲームを実装してスタートする予定なのだそうだ。拡張現実世界に住むゾンビとの命がけのレースなどもあって面白そうだ。これは確かにGoogle Glassの魅力を一気に高めることになるかもしれない。
「エクササイズはもちろん身体に良いことです。そしてゲームというのは楽しくて、人々を夢中にするものです。私たちは、それらを拡張現実世界の中で融合して、エクササイズを本当に楽しく、熱中できるものにしたいと考えているのです。その最初のプラットフォームとなるのが、Google Glassなのです」。これはRace Yourselfの共同ファウンダーであるAlex Fosterの言葉だ。「スマートフォン環境よりもはるかにモチベーション作りにも役立ち、記録を活用する方法もいろいろと考えられ、タイムを競うのにも新しい方法を導入することができます。パーソナルベストと競争をするのなら、果たしてそれを上回っているのかどうか、ランニング中により具体的なイメージとして見ていくことができるわけです」。
Glass上のセンサーのおかげで、たとえば「爪先を触る」動きを検知することができたり、あるいはタップ操作によってすぐに記録動作を一時停止することもできる。また「怪我モード」(injury mode)も搭載している。怪我をしているときや調子のよくないとき、より多くのアクティビティを消化したことにしたりしてくれるそうだ。ちなみにフィットネスと縁遠いところにいる筆者にとって、このモードがどういうものなのかよくわからなかった。
GlassFitのビジネスモデルもまた、Clash of ClansやLeague of Legendsなどのゲームを参考にしたものだ。「数多くのゲームを提供し、また今後も追加していきます」とFosterは言う。「利用者はカロリー消費や自己ベストの更新、フィットネス活動連続記録の達成などによりポイントをゲットします。集まったポイントはゲームのアンロックに利用することができます。面白いないし機能満載のゲームということになれば、アンロックするのにより多くのポイントが必要となります。ポイントが足りない場合に“購入”することもできるようにしていて、それがひとつの収益策ということになります。またアプリケーションを利用するのに必要となる心拍計や速度計の販売も行っていきます」。
GlassFitのリリースは、Google Glassの正式リリースと同時に行いたい考えだ。但し、来月ないし再来月あたりには、プレセールスや、Kickstarterでのキャンペーン等も行う予定にしている。Glassの一般向けリリースが行われないうちは、どうしてもGoogle Glassはニッチな存在ということになる。そのような中で行うキャンペーンなどがうまくいくのかどうかは微妙なところだ。但し、いざ正式リリースとなれば、多くの人がGoogle Glassに殺到するようになると、Race Yourselfは期待しているようだ。
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(翻訳:Maeda, H)