銀行が海外送金を安くで行えるサービスを展開しているシンガポール拠点のスタートアップInstaremは、グローバル展開へ向けシリーズCラウンドで2000万ドルを調達した。
今回のラウンドはインドネシアの通信企業TelkomのVC部隊MDI Venturesとタイの銀行Kasikornのファンド、そして既存の投資家Vertex Ventures、GSR Ventures Rocket Internet、SBI-FMO Fundによって実施された。
今回の資金により、設立4年のInstaremはこれまでに4000万ドル近くを調達したことになる。しかしながらInstaremの創業者でCEOのPrajit NanuはTechCrunchに対し、シリーズCを4500万ドルに拡大する計画だと語った。追加の投資は来年1月までにクローズされる見込みだ。Nanuは、南米の新興マーケットと欧州でビジネスを展開するのに力を貸してくれそうな戦略投資家を引っ張ってくるのに注力している。
「我々はいま、資金の意味合いが非常に大事なときにある」とNanuはインタビューで語った。「我々のビジネスに付加価値を与えてくれるような投資家を今回のラウンドに取り込めるかどうかが、今後の鍵を握る」。
Nanuはまた、可能性のあるいくつかの投資家の中で、米国の大手ファンドと現在交渉していることも付け加えた。
Instaremは海外送金のコストを削減するために銀行と協力し、“企業向けのTransferwise”サービスのようなものを提供している。しかしTransferwiseが世界中に送金するのにグローバル銀行ネットワークを使うのに対し、Instaremは海外通貨で取引を行っている中規模の銀行を活用している。以前私が記事に書いた通り、この仕組みは、今から出港するというUPSの貨物船に荷物を置くようなものだ。これにかかる費用は、船を探して自分で荷物を送るのに伴うコストよりも安い。
Instaremは主に東南アジアにフォーカスしていて、50マーケット以上への送金に対応している。一般消費者向けにもサービスを提供してはいるが、常に需要があり、扱う平均額も大きな金融機関が主なターゲットだ。
Instaremはシンガポール、ムンバイ、リトアニアにオフィスを構えていて、提携企業の拡大を見据え、間もなくシアトルにもオープンする。すでに東南アジアの銀行上位10位のうち3行と提携している。Nanuによると、Instaremはまず南米とメキシコに関係する顧客をターゲットとしているクロスボーダーの銀行、ファイナンシャルサービスとの提携を目指す。アジアにおいては、日本とインドネシアでライセンス待ちの段階で、ライセンスを取得すればこの2国で多くのサービスを展開することになる。
TechCrunchが把握している限りでは、InstaremはVisaとの交渉で微妙な時期にある。交渉の結果次第では、顧客にプリペイドカードやファイナンシャルサービスを提供できるようになる。このVisaとの交渉について、Nanuはコメントを拒否した。
TechCrunchはまた、Instaremが今年初めに東南アジアのユニコーンの1社から買収のアプローチを受けたことも把握している。Nanuは買収を持ちかけてきた企業名を明かさなかったが、このオファーは“我々にとっていいタイミングではなかった”とコメントした。しかし、彼の考えはIPOに傾いている。
昨年、InstaremがシリーズBで1300万ドルを調達した時、Instaremが2020年までに株式を公開するかもしれない、とNanuはそれとなく語った。NanuはTechCrunchに対し、適当な時期がきたら米国で株式公開するというのが最も好ましいと言っていて、目標とするその時期は2021年と後ろ倒しになっている。
イメージクレジット: Svetlana Lukienko/ Shutterstock
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(翻訳:Mizoguchi)