フェイスブックが脳からの神経信号を読み取るAR操作用ニューラルリストバンドのコンセプトを公開

Facebook(フェイスブック)のハードウェア戦略は、外から見るとかなり不透明に見えることが多い。パンデミックによる需要に助けられ、同社のOculus(オキュラス)の売れ行きは極めて好調だ。Echo Show(エコーショー)の競合製品であるPortalも、人々が社会的距離を確保せざるを得なくなったことで売上が伸びている。その一方で、HTCとのスマートフォンにおける提携は8年ほど前に失敗に終わった。

2021年の初めには、同社がApple Watchに対抗する製品を開発しているという報道があった。このスマートウォッチは、オープンソースのAndroidを搭載し、健康に焦点を当てたものになるといわれている。それが事実なら、Google(グーグル)が選択したwearOSに代わる興味深い選択肢となるだろう。

今週、Facebookは別のリストバンド型ウェアラブルを発表した。このプロジェクトの詳細は以前の報道とあまり一致していないため、2つの異なるプロジェクトを意味しているのかもしれない。Facebookのような大きい会社ならあり得る話だ。

Facebook Reality Labsのこのプロジェクトは、コンピュータの代替インターフェースを提供することに重点を置いている。具体的には、同社のAR(拡張現実)への取り組みに沿ったものだと思われる。

米国時間3月18日のブログ記事にはこう書かれている。

携帯電話やゲームのコントローラーのように、ポケットに入れられる別のデバイスは、ユーザーと環境の間に摩擦が生じます。可能性を追求していくうちに、入力デバイスを手首に配置することが明確な答えとなりました。手首は伝統的に時計を装着する場所であり、日常生活や社会的な状況に無理なく溶け込むことができます。1日中身につけていても違和感のない場所です。手首は、世界と対話するための主要な道具である手のすぐ近くにあります。この近さにより、手の持つ豊かなコントロール能力をARに導入することができ、直感的でパワフルかつ満足度の高いインタラクションが可能になります。

提示された情報から判断して、これはどちらかというと概念的な段階に見える。つまり、将来のARシステムにおいて、よりシームレスなコントロールを提供するための鍵となるかもしれないということである。それでも、これは人間とコンピューターをより深く統合するソリューションへの第一歩として提示されている。Facebookとあなたのニューロンをどれだけ深く統合したいかは、どうやらそう遠くない将来、我々が自分自身に問いかけなければならない問題のようだ。

具体的にはこのインターフェースは、筋電図(EMG)センサーを使って運動神経の信号を解釈し、それに応じてインターフェースを操作するように設計されている。興味深いことにこの話題は米国時間3月18日の夜、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が参加したClubhouse(クラブハウス)のイベントで持ち出された。Pebbleの創業者でありYCのパートナーでもあるEric Migicovsky(エリック・ミギコフスキー)氏が自身のスマートウォッチのスタートアップのためにApple(アップル)と取引した経験を語った後、FacebookのCEOは次のように述べた。

腕時計を作ろうとしているという話であれば、確かに当社は手首に装着するタイプのものを研究しています。ただこれは腕時計と呼びたくありません。基本的なニューラルインターフェースの仕組みについては、Facebook Reality Labsチームが今日、研究の一部をデモしました。手首を通すニューラルインターフェースでは、携帯電話と何らかのかたちで統合したい場合、iOSよりもAndroidの方がはるかに簡単です。私が思うに、この分野にはもっと力を入れるべきだと思います。また、プライベートAPIは、健全なエコシステムの構築を困難にしているとも思います。

「研究」している、という言葉がここではキーワードだ。しかし、このようなプロジェクトの初期段階を見るのは、いつもクールで興味をそそられる。たとえそれが約束する未来が、まだ少し行き過ぎに思えるとしても。

EMGは、いずれはより豊かなコントロールを実現するだろう。ARにおいてはこのデモ動画にあるように、バーチャルUIやオブジェクトを実際に触って動かすことができるようになる。また、離れた場所にある仮想の物体を操作することもできるようになる。凡人でもフォースに似た超能力を持つようなものだ。

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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