フロリダ工科大学と食品調味料のハインツが火星環境を再現し栽培・収穫したトマトで作ったケチャップ発表

フロリダ工科大学と食品調味料のハインツが火星環境を再現し栽培・収穫したトマトで作ったケチャップ発表

Florida Institute of Technology / Heinz

フロリダ工科大学と食品調味料のハインツが、火星基地内の環境を再現した環境で栽培・収穫したトマトから作ったケチャップに「Heinz Marz Edition」と名付けて発表しました。映画『オデッセイ』では、火星基地に取り残されたマット・デイモン演じる主人公ワトニーがジャガイモを栽培して生きながらえましたが、ハインツはこれと同じ条件でトマト栽培をおこなったわけです。

フロリダ工科大学の研究チームは、火星基地の環境を再現する「Red House」と称する温室を構築しました。まずケチャップの原材料となるトマトは、ハインツが持つ様々な品種の中からまず最初に30株を選び、モハベ砂漠で集めた砂を火星の土壌に見立て、赤いLEDライトを照らして2000時間以上のパイロット栽培で製鋼する可能性の高い4種類を選び出したとのこと。そして最終的にうまくいくと判定された2種類を個別に450のバケツに植え、ハインツとの密接な協力の下で大規模な栽培に移行したとのこと。

オルドリン宇宙研究所の生物科学准教授アンドリュー・パーマー氏は、「このプロジェクトでは、食料の長期的な収穫を検討しました。ハインツのトマトケチャップにふさわしい品質の作物を収穫するのは夢でもなければ難しいと思われましたが、達成することができました」と語り「ハインツのトマト専門家との共同作業により、地球外での長期的な食糧生産の可能性を確認できました。世界最大級の食品会社と協力することで、私たちが学べることはたくさんあります」と述べています。

ただ、実験を通じて収穫できたトマトは数百個に留まり、予想よりも少ない数だったとのこと。求める量の収穫を実現するには、より広い栽培スペース、光と温度、灌漑の適切な供給が課題として残ったとのこと。また個々の容器での栽培よりトラフを用いて複数の種類の作物や果物を栽培するほうが多様で有効な微生物を増やすことができ、植物が病気になりにくい環境とすることができると、パーマー氏は述べました。

なお、プロジェクトとハインツ社は研究で収穫したトマトを使い、カリフォルニアの研究施設でトマトケチャップ「Heinz Marz Edition」を限定的に生産しました。そしてそのボトルの1本を飛行機で高度37kmほどの上空に持って行き、マイナス74℃の温度環境にも晒して品質に問題がないかも確認しました。

ただ残念ながら、このように火星の環境についての研究の一環で作られた「Heinz Marz Edition」は一般向けに販売する予定はありません。ちなみに本来なら火星を意味する英単語は「Mars」ですが、このケチャップが「Marz」になっているのは、ハインツの綴り(Heinz)に引っかけてのことです。

フロリダ工科大学と食品調味料のハインツが火星環境を再現し栽培・収穫したトマトで作ったケチャップ発表

Florida Institute of Technology / Heinz

フロリダ工科大学と食品調味料のハインツが火星環境を再現し栽培・収穫したトマトで作ったケチャップ発表

Florida Institute of Technology / Heinz

(Source:Florida Institute of TechnologyEngadget日本版より転載)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。