ブラウザベースの法人向けビデオチャットサービスFaceHubを提供するFacePeerが総額2億円の資金調達

ブラウザ上で映像によるコミュニケーションを実現するビデオチャットサービス、特にW3Cが提唱するオープン規格のWebRTCを使ったものはいろいろと提供されているが、企業での利用を前提としたものは少ない。「FaceHub」は、WebRTCをベースにしながらB2B2Cでの利用を想定して、2015年7月から提供されている法人向けビデオチャットサービスだ。

FaceHubを提供するFacePeerは5月10日、三井住友海上キャピタル、マイナビ、三生キャピタル、日本アジア投資を引受先とする第三者割当増資の実施と、日本政策金融公庫からの資本性ローンと新株予約権付融資を組み合わせた借入による、総額2億円の資金調達を発表した。

FacePeerでは、これまでに2015年7月にレアジョブとショーケース・ティービーから、2016年2月には日本アジア投資とCSAJスタートアップファンドから総額1.1億円の資金調達を実施しており、今回が3回目の資金調達となる。

FaceHubは、WebRTCを利用することにより、アプリのインストールが不要(IEではプラグインは必要)で、ブラウザ上でURLをクリックするだけで使えるビデオチャットのプラットフォーム。WebRTCでは一般に、ユーザー同士を直接つなぐピア・ツー・ピア接続となるため、会話の管理・監視や録画録音ができず、またセキュリティ面での不安からも企業ユースには使いにくいが、FaceHubではクラウド上にコントロールサーバーを配置し、通信を制御、こうした課題を解決している。また音声の自動文字起こしや画面共有などの機能も提供されている。

FaceHubの仕組み(FacePeerサイトより)

FaceHubはPCおよびAndroidのWebブラウザに対応する他、iOSアプリ、Androidアプリが用意されている。2017年3月には、自動車などの事故の損害調査サービスにスマホ動画を活用するため、三井住友海上火災保険がFaceHubを採用。その他、日本医療通訳サービスが提供する遠隔医療通訳サービス「Medi-Call.」、ケイ・オプティコムが提供する「クラウド翻訳」をはじめ、ECサイトの接客やカスタマーサポートなどで採用されているという。

FacePeerでは今回の資金調達により、FaceHubの機能開発の強化と、エンジニアおよび営業の採用、現行サービスの品質向上を図るとしている。

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TechCrunch Japan

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