ブラジルのオンラインクレジットマーケットプレイスであるFinanZero(フィナンゼロ)は、700万ドル(約7億7000万円)の調達ラウンドを完了したことを現地時間4月5日に発表した。2016年の設立以来4回目の資金調達だ。これで調達総額は2285万ドル(約25億2000万円)になった。
リアルタイムオンラインローンブローカー(融資仲介業)の同社は、利用者が個人ローン、自動車担保ローン、住宅担保ローンなどの申し込みを無料で行い、数分以内に回答が返ってくる。FinanZeroの成功のカギは、融資自体は行わず、代わりに融資を提供する銀行やフィンテック約51社と提携していることだ。
FinanZeroはブラジルの金融中心街であるサンパウロを拠点とし、52名の従業員がいる。
「私たちは初日からこう言っていました、『成功報酬だけで商売する』つまり利用者が融資契約に署名したときにだけ手数料を受け取ります」と共同ファウンダーでCEOのOlle Widen(オル・ウィデン)氏はいう。利用者からお金を取るのではなく、FinanZeroは提携パートナーから手数料を受け取る。そして増え続ける融資申し込み(月間平均75万件)のおかげで、会社は2019年から2020年の間に売上を61%伸ばした。
ブラジルの金融・バンキング市場は崩壊が近づいており、伝統的に富裕層を優遇してきた。
低所得の人々、すなわちブラジル国民の大半にとって、融資の選択肢はほとんどなくその結果負債の悪循環から逃れることができない。ブラジルの若者は結婚するまで家族と暮らすのが伝統的であり、そこには文化的側面もあるが、つまるところ住宅ローンの承認を得ることが極めて難しいからだ。
FinanZeroや、ラテンアメリカ最大のデジタルバンクであるNubankのようなサービスによって、ブラジル人はこれまで自分たちの生活を支配してきた旧態依然の金融機関から離れ、自立した経済活動が可能になりつつある。
スウェーデン出身のウィデン氏は、約10年前に個人的事情でブラジルに渡り、そこで北欧のイノベーションをブラジルにもたらすことに焦点を絞った投資会社であるWebrodk VenturesにFinanZeroのアイデアを売り込んだ。
当時FinanZeroの先駆けとなったスウェーデンのスタートアップLendoはスウェーデンで大ヒットしており、ブラジルでも同じようなモデルが成功するとチームは考えた。官僚主義とお役所仕事で知られるこの国で、合理的で手間いらずの融資アプローチの機は熟していた。
最初のアイデアは単なるLendoのコピーだったが、やがて外部からの指摘を受け、サービスとユーザー体験の「トロピカル化」が必要だと気づいた。つまり、ブラジルの市場と人々に合わせたカスタムソリューションを作らなければならなかった。
「Lendoのファウンダーは私の幼なじみでした」と、ウィデン氏がスウェーデンフィッテックとの絆について話した。
FinanZeroで融資を申し込むために自分のクレジット(信用)スコアを提示する必要はない。必要なのは公共料金の請求書(住所の証明)と収入の証明、政府IDだけだ。手続きは簡単で、92%のローン申請はスマートフォンから行われているとウィデン氏はいう。
「私たちのビジネスモデルは、銀行のリスク選好度に強く依存しており、2019~2020年で60%成長しました。月間300万近いアクセスがあり、ユニークユーザーは約150万で、2021年3月には80万人が申し込みフォームに記入しました。全サービスを通じて承認率は約10%です」とウィデン氏は述べた。
今回のラウンドをリードしたのはスウェーデンの投資家であるVEF、Dunross & CoおよびAtlant Fonderで、いずれも同社の既存出資者だ。資金はマーケティング(ほとんどがテレビCM)、プロダクト開発、および人材獲得に使用される。
カテゴリー:フィンテック
タグ:FinanZero、資金調達、ブラジル
画像クレジット:FinanZero
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(文:Marcella McCarthy、翻訳:Nob Takahashi / facebook )