サービス・サポート付き市民農園「シェア畑」などを手がけるアグリメディアは3月10日、第三者割当増資による約3億5000万円の資金調達を発表した。引受先は、三井不動産のCVCファンド「31VENTURES Global Innovation Fund II」、博報堂DYグループCVCの博報堂DYベンチャーズが運営する「HAKUHODO DY FUTURE DESIGN FUND」、西日本旅客鉄道のCVC子会社JR西日本ベンチャーズの3社。
2011年4月創業のアグリメディアは、「農業を、実りある事業に」をミッションに掲げ、農業領域で事業を展開するスタートアップ。農地活用事業のサービス・サポート付き市民農園「シェア畑」、農業HR事業の農業求人サービス「あぐりナビ」を手がけている。
また、これら運営を通じて獲得したデータ、取引先や顧客とのリレーション、市場環境や法制度などのナレッジを「AGRI DB」(アグリデータベース)と総称し、コアの競争力と位置づけているという。
調達した資金は、AGRI DBを起点に新事業拡張を推進するデータサイエンティストやITエンジニアの採用にあてる。同社が運営する道の駅などの販売システムの刷新にも振り向け、業務全般のDXの確立を急ぐ。
また、各業界において強い経営基盤を持つ3社グループのアセットを活用し、「農ある街づくり」やスマートシティ、産地から消費者に生鮮野菜を届ける「生鮮野菜の流通」領域で事業を拡大するとしている。
農ある街づくりとは、貸農園や滞在型農園(クラインガルテン)、スマート農業を展開する農業団地など農業に関わるコンテンツを取り入れた街づくりを指すという。区画整理を伴った再開発や大型商業施設の整備に加え、新規就農者の住居となる古民家や空き家のリニューアルなども関わってくるため、事業規模が大型化するほどデベロッパーの調整力が必要としている。
2012年にサービスを開始したシェア畑は、農地の維持管理に困っている都市近郊の地権者と、野菜作りに親しみたい都市住民の架け橋となっており、首都圏と関西で98農園を展開。コロナ禍により都市住民の在宅比率が高まったことで、気軽に通えるシェア畑が評価され、新規契約者数は前年同期比2倍となったという。
またあぐりナビは、サービス開始6年で登録会員(農業を仕事にしたい求職者)が7万人を超え、取引農家も北海道から九州に至るまで計4800件を突破した。
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