ベルギーのスタートアップは国際的な展開の準備を整えていると語る投資家たち

ブリュッセルでベルギーのエコシステムに関わる5人の投資家を対象に調査を行ったところ、全体的に明るいムードが漂っていた。

投資家たちは、スマートリビング、ライフサイエンス(「ベルギーにとって実に有望な分野」)、B2B「インダストリー4.0」、フィンテック、モビリティ、ヘルスケア、ミュージックテックといった分野の企業を支援している。ある投資家は、フードテックが「過密状態」にあると語る。別の投資家は「新型コロナウイルス感染症の経験から、地元企業、中でもスマートリビング、ライフサイエンスとライフテクノロジーの分野に重点を置いている企業に投資する戦略が固まった」と述べている。

ベルギーには「バイオテック企業、大学、スタートアップ、スケールアップ企業など、ヘルスケア企業・団体によるダイナミックなエコシステムがある。ベルギーのヘルスケア分野のさまざまな団体をまとめる#BeHealth(#ビーヘルス)イニシアチブに注目している」。

ベルギーは「地域によって文化や言語が異なる、小規模だが複雑な市場」であるため「B2Cスタートアップ向きの市場ではない」という。そのため、投資先はベルギーとその周辺国に絞っている。

しかし、スタートアップのための資金調達は「現在でも難しい課題」であると、ある投資家はいう。後のラウンドに続く「スケールアップのための資金」が不足しているためだ。

ブリュッセルの全体的な投資環境と投資機会について、他の都市の投資家は、どのように考えるべきだろうか。ある投資家は「高い教育水準、多文化、多言語の環境として」と話す。また、別の投資家は「エコシステムは非常にダイナミックで、大きなチャンスがある。欧州の他の中核都市に比べて大抵評価額は低いが、市場にはかなりの資金が出回っている」と述べている。

ブリュッセルは地理的に「欧州各国とのつながりが非常に強く、元々国際的な雰囲気のある街だ」。また、多文化、多言語でもある。そのため、スタートアップは「まずはフランスかオランダ、またはその他の国か」という、国際的な事業展開に向けて態勢を整えている。「ベルギーでのチャンスをうかがっている投資家は、ベルギーのスタートアップが国際的な成長に適していることを認識すべきだ」

ベルギーは国土が狭く非常に密集した国であるため「すでに創業者たちは地理的に分散している」。

投資家はまた、企業に対して「少なくとも2021年末まで持ちこたえられるだけの資金を確保するように」と助言している。

以下の投資家たちに話を聞いた。

Pauline Brunel(ポーリーン・ブルネル)氏、BlackFin(ブラックフィン)、パートナー

通常、どのようなトレンドに投資するときが、一番ワクワクしますか。

フィンテックとインシュアテックです。

次の投資を判断する際に、通常、どのようなことを検討しますか。

優れたチームと大きなチャンスです。

Xavier de Villepin(グザヴィエ・ド・ヴィルパン)氏、TheClubDeal(ザ・クラブディール)、パートナー

通常、どのようなトレンドに投資するときが、一番ワクワクしますか。

スマートリビングや、ライフサイエンス、ライフテクノロジーです。

最近、一番エキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

Univercells(ユニバーセルズ)のシリーズCです。

特定の業界で「こんなスタートアップがあったらいいのに」と考えることはありますか。現在、見過ごされていると感じるチャンスはありますか。

スマートリビング分野では、より多くのスタートアップが求められています。概して、地元で粘り強い仕事を続けている企業は海外進出を狙っています。

次の投資を判断する際に、通常、どのようなことを検討しますか。

成長市場での大胆な起業家です。

新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資を検討する際に慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

ブロックチェーンと仮想通貨には慎重です。

御社の投資全体の中で、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)への投資と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

50%を超えています。

現在のポートフォリオに含まれているかどうかに関わらず、御社の都市や地域で、長期的な繁栄に適していると思われる業種、または適していないと思われる業種は何ですか。どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

バイオテックを含むライフサイエンスは、ベルギーにとって実に有望な分野です。逆に、ベルギーはB2Cスタートアップ向きの市場ではありません(地域により文化や言語が異なる、小規模ですが複雑な市場です)。

他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の投資環境と投資機会全体についてどのように考えるべきでしょうか。

ブリュッセルは、ベルギーの主要なハイテク拠点の1つであると見られています。しかし、プライベートエクイティやリスクオンの考え方は、まだここにはありません。スタートアップのための資金調達は、現在でも難しい課題です。

パンデミックや長引く先行きの不安によりスタートアップハブが人手不足に陥っていることに加え、リモートワークが注目されています。今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増すると予想していますか。

多くのスタートアップ企業はすでにリモートワークやフレックスタイム制を奨励していたので、特に大きな影響はないと思います。

御社の投資先のうち、新型コロナウイルス感染症による消費者や企業行動の潜在的な変化への対応に苦慮する業界セグメントはどれだと予想していますか。また、そのような変化の影響を他より強く受ける業界セグメントはどれだと思いますか。

間違いなく旅行業とホスピタリティ業(スマートリビングの一部)です。これらの業界は大きな被害を受けました。しかし、投資するには良いタイミングでしょう。スタートアップにとっては、自分たちのモデルを再考し、今までと異なる見方に挑戦するチャンスです。

新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。投資先のスタートアップ創業者はどんな点を最も心配していますか。御社のポートフォリオに含まれるスタートアップにはどのようにアドバイスしますか。

新型コロナウイルス感染症によって、私たちの戦略が正しいことを確認できました。スマートリビング、ライフサイエンス、ライフテクノロジーといったベルギー経済のバックボーンにある地域の競争力に重点を置く戦略です。しかし、個々の分野、個々の企業ではさまざまな影響を受けているでしょう。そのため、これまで以上に各ケースに対して綿密な分析とデューデリジェンスが必要とされています。スタートアップへのアドバイスは、この状況があと1年は続くと考え、キャッシュフローを非常に慎重に計画することです。

この1カ月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

前回のロックダウンで、企業は事業を継続するために自由度を広げる機会を得、その多くが働き方を適応させたことで事業を維持できたことを目の当たりにしました。

Frederic Convent(フレデリック・コンベント)氏、TheClubDeal(ザ・クラブディール)、パートナー

通常、どのようなトレンドに投資するときが、一番ワクワクしますか。

スマートリビングや、ライフサイエンス、ライフテクノロジーです。

最近、一番エキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

Univercells(ユニバーセルズ)のシリーズCです。

次の投資を判断する際に、通常、どのようなことを検討しますか。

スマートリビング、ライフサイエンス、ライフテクノロジーの分野で活躍している企業をさらに見ていきます。

新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資を検討する際に慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

ブロックチェーンと仮想通貨です。

御社の投資全体の中で、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)への投資と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

50%です。

現在のポートフォリオに含まれているかどうかに関わらず、御社の都市や地域で、長期的な繁栄に適していると思われる業種、または適していないと思われる業種は何ですか。どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

ブリュッセルではフィンテックが好調です。Antwerp(アントワープ)の住宅ローンB2BフィンテックのOper(オペル)も気に入っています。

他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の投資環境と投資機会全体についてどのように考えるべきでしょうか。

高い教育水準、多文化、多言語の環境としてでしょう。

パンデミックや長引く先行きの不安によりスタートアップハブが人手不足に陥っていることに加え、リモートワークが注目されています。今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増すると予想していますか。

ほとんどのスタートアップはすでにリモートワークに慣れていて、彼らやそのクライアントは各地で仕事ができることがわかっているため、ハブへの影響は少ないと思います。

御社の投資先のうち、新型コロナウイルス感染症による消費者や企業行動の潜在的な変化への対応に苦慮する業界セグメントはどれだと予想していますか。また、そのような変化の影響を他より強く受ける業界セグメントはどれだと思いますか。

旅行業とホスピタリティ業は今回の新型コロナウイルス感染症による危機で大きな被害を受けることになるでしょう。ライフサイエンスは、この危機に対処するのに有利な立場にあります。

新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。投資先のスタートアップ創業者はどんな点を最も心配していますか。御社のポートフォリオに含まれるスタートアップにはどのようにアドバイスしますか。

新型コロナウイルス感染症の経験から、地元企業、中でもスマートリビング、ライフサイエンスとライフテクノロジーの分野に重点を置いている企業に投資する戦略が固まりました。

御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

メドテック、つまり重要な医療処置関連では、危機の恩恵を受け、ある程度の回復の兆しが見られます。

この1カ月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

前回のロックダウンによって、企業はビジネスモデルの適応力と、新しい状況に対応する力を向上させました。

Alexandre Dutoit(アレクサンドル・デュトワ)氏、Scale Fund(スケールファンド)、パートナー

通常、どのようなトレンドに投資するときが、一番ワクワクしますか。

シードラウンドとシリーズAのエクイティギャップを埋めようとしているときです。

最近、一番エキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

高齢者の転倒検知技術を開発したシルバーエコノミーのKaspard(カスパード)です。

特定の業界で「こんなスタートアップがあったらいいのに」と考えることはありますか。現在、見過ごされていると感じるチャンスはありますか。

私たちはB2Bを得意としています。インダストリー4.0タイプの案件は、私たちから見ると少し不足しています。

次の投資を判断する際に、通常、どのようなことを検討しますか。

何よりも、優秀なチームが必要です。そして、ある程度の商業的な牽引力があること、PoC(概念実証)であること、最初の契約であることです。

新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資を検討する際に慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

フードテックは過密状態にあるように見えます。多くのB2C起業家が「代わり映えしないことばかり」しています。

御社の投資全体の中で、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)への投資と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

ベルギーとその周辺国に集中しています。

現在のポートフォリオに含まれているかどうかに関わらず、御社の都市や地域で、長期的な繁栄に適していると思われる業種、または適していないと思われる業種は何ですか。どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

バイオテックは間違いなくベルギーで成功しています。フィンテックやミュージックテックも成長しています。

他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の投資環境と投資機会全体についてどのように考えるべきでしょうか。

エコシステムは非常にダイナミックで、大きなチャンスがあります。欧州の他の中核都市に比べて大抵評価額は低いですが、市場にはかなりの資金が出回っています。

パンデミックや長引く先行きの不安によりスタートアップハブが人手不足に陥っていることに加え、リモートワークが注目されています。今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増すると予想していますか。

起業家は特に、ネットワークを作り、経験を共有し、競い合う環境を好むので、そうはならないと思います。

御社の投資先のうち、新型コロナウイルス感染症による消費者や企業行動の潜在的な変化への対応に苦慮する業界セグメントはどれだと予想していますか。また、そのような変化の影響を他より強く受ける業界セグメントはどれだと思いますか。このような前例のない時代にスタートアップが活用できるチャンスとは何でしょうか。

私たちの投資先は適応できるすばらしいチームなので、ほとんどないでしょう。私たちのポートフォリオにあるイベント関連企業は、ビジネスモデルの見直しに成功し、今では危機前に比べて利益が増加しています。また、リモートワークを促進し、離れた場所でもサービスを提供できる企業は、短期的な勝者となるでしょう。

新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。投資先のスタートアップ創業者はどんな点を最も心配していますか。御社のポートフォリオに含まれるスタートアップにはどのようにアドバイスしますか。

新型コロナウイルス感染症による戦略への影響はありません。起業家は、不確実性と先見性の欠如を恐れています。私たちは、資金調達の面で彼らを安心させながら、次の機会がきたときの準備と技術やプロセスに取り組むことを促しています。

御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

イベント業界とつながりのあるスタートアップ、Utopix(ユートピックス)は、売上の落ち込みを受けてビジネスモデルを見直すことができました。その後、彼らは過去最高の月間売上を達成しています。

この1カ月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

私は、企業がビジネスを再開するために奮闘していた夏の後、希望を見い出しました。残念ながら、それはあまり長く続きませんでしたが、前向きな姿勢を保ち、重要なことに集中するようにしています。

TechCrunchの読者のみなさんに何か伝えたいことはありますか。

ブリュッセルは、スタートアップの成長に適しており、欧州各国とのつながりが非常に強く、元々国際的な雰囲気のある街です。

Olivier de Duve(オリヴィエ・ド・ドゥーブ)氏、Inventures Investment Partners(インベンチャーズ・インベストメント・パートナーズ)、パートナー

通常、どのようなトレンドに投資するときが、一番ワクワクしますか。

インヴェンチャーズでは、財務リターンが大きく、社会的・環境的インパクトが測定可能なさまざまなスタートアップに投資しています。2021年に向けて、私たちが最も関心を持っている分野は、モビリティ、HRテクノロジー、ブルーエコノミー(水と海洋の健全性に関するテクノロジーへの投資)、循環型経済です。これらの分野は欧州で急速に成長し始めており、来年にはすばらしい案件を獲得できることを楽しみにしています。

最近、一番エキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

私たちは、ちょうどMySkillCamp(マイスキルキャンプ)のラウンドを主導しました。マイスキルキャンプは、ベルギーのHRテック企業で、中小企業や大企業の従業員教育のために適応性の高いプラットフォームを提供しています。同社は、パンデミックの間でさえも驚くべき急成長を続けており、企業が従業員のスキルアップと再教育のためのソリューションを必要としているという事実を証明しています。

特定の業界で「こんなスタートアップがあったらいいのに」と考えることはありますか。現在、見過ごされていると感じるチャンスはありますか。

ご質問の対象を投資家に変えてお答えします。欧州では、シリーズB以降のステージで積極的に投資を行うインパクトベンチャーキャピタル企業がもっと増えて欲しいと思っています。今のところ、ほとんどの大手インパクトVCは米国に集中しています。このような資本源がブリュッセルや近隣のエコシステムにあれば、アーリーステージの欧州のVCは、後のラウンドでポートフォリオ企業の規模拡大やサポートを継続していくことが容易になります。このような資本を利用できることは、持続可能なエコシステムを作るための鍵となります。

次の投資を判断する際に、通常、どのようなことを検討しますか。

私たちの投資テーマは、財務が安定しており、国連が提唱する17の持続可能な開発目標(SDGs)の1つに取り組むスタートアップを見つけることです。大まかに言えばそれは、ヘルスケア、モビリティ、再生可能エネルギー、気候といった分野の企業になります。私たちは2つ目のファンドを完了しようとしていますが、次の投資は、明確な商業的牽引力、優れたチーム、国際展開に向けた堅実な計画など、私たちのスイートスポットを捉えるものでなければなりません。

新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資を検討する際に慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

軽車両スクーターのシェアリングや遠隔医療ソリューションのように、いくつかの市場は過飽和状態にあります。D2C医療機器も参入するには厳しい市場です。パンデミックの状況を考えると、観光やスポーツのようなレクリエーション分野で事業を展開するスタートアップは、これまで以上に苦戦しています。デジタルでないすべての製品やサービスは回復力が弱く、早急にシフトする必要があるでしょう。

御社の投資全体の中で、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)への投資と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

私たちのスタートアップの約半分はベルギーを拠点としています。従来、英国、フランス、オランダ、ルクセンブルグに投資してきましたが、EU全域への投資も視野に入れています。

現在のポートフォリオに含まれているかどうかに関わらず、御社の都市や地域で、長期的な繁栄に適していると思われる業種、または適していないと思われる業種は何ですか。どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

モビリティとヘルスケアの2分野が頭に浮かびます。ベルギーはハイパーコネクテッドな国です。より持続可能で効率的な交通手段を求めるユーザーのニーズに取り組むモビリティ関連スタートアップは、ベルギーでうまくいくでしょう。ヘルスケアについて、ベルギーには、バイオテック企業、大学、スタートアップ、スケールアップ企業など、ヘルスケア企業・団体によるダイナミックなエコシステムがあります。私たちは、ベルギーのヘルスケア分野のさまざまな団体をまとめる#ビーヘルスイニシアチブに注目しています。

ご紹介したい企業の1つに、地方自治体の投票や市民参加型の予算編成などを支援し民主主義を機能させるためのデジタルプラットフォームを手がけるCitizen Lab(シチズンラボ)があります。同社はシビックテックを中心に話題を提供しており、創業者のWietse Van Ransbeeck(ウィツ・ヴァン・ランズビク)氏とAline Muylaert(アリーン・マーラート)氏が2021年に向けて何を計画しているのか、とても楽しみにしています。

他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の投資環境と投資機会全体についてどのように考えるべきでしょうか。

ベルギーは多文化で多言語の国なので、ここで成長したスタートアップは必然的に国際的な展開に有利な立場にあり、まずはフランスかオランダ、またはその他の国かもしれませんが、いずれにしても海外進出を視野に入れています。ベルギーでのチャンスをうかがっている投資家は、ベルギーのスタートアップが国際的な成長に適していることを認識すべきであり、投資家としての役割は、ベルギーのスタートアップを他の市場に紹介することでしょう。

パンデミックや長引く先行きの不安によりスタートアップハブが人手不足に陥っていることに加え、リモートワークが注目されています。今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増すると予想していますか。

ベルギーは国土が狭く非常に密集した国であるため、すでに創業者たちは地理的に分散しています。ブリュッセルには、スタートアップ数十社の共同オフィスであるCo.Station(コウ・ステーション)があります。一方、Leuven(ルーヴェン)、Ghent(ヘント)、アントワープ、Liege(リエージュ)など、ブリュッセルから電車で最大2時間の距離にある都市でも変革が力強く進んでいるのが見られます。例えば、私たちの最新の投資先であるマイスキルキャンプは、Tournai(トゥルネー)を拠点とし、ブリュッセルにもオフィスを構えています。

御社の投資先のうち、新型コロナウイルス感染症による消費者や企業行動の潜在的な変化への対応に苦慮する業界セグメントはどれだと予想していますか。また、そのような変化の影響を他より強く受ける業界セグメントはどれだと思いますか。このような前例のない時代にスタートアップが活用できるチャンスとは何でしょうか。

私たちのポートフォリオについていえば、投資先企業はヘルスケア、気候、エネルギーなどの社会問題に取り組んでいるため、危機に対して非常に回復力があることがわかりました。また、SaaS企業やその他のデジタルサービス企業も影響は少なく、デジタル化が生き残りの鍵であることを示しています。政府機関との大規模契約への依存度が高い企業は、新型コロナウイルス感染症に起因する支出パターンの変化の影響を受ける可能性があります。

新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。投資先のスタートアップ創業者はどんな点を最も心配していますか。御社のポートフォリオに含まれるスタートアップにはどのようにアドバイスしますか。

投資後の戦略に比べると、投資戦略は、新型コロナウイルス感染症の影響をそれほど受けていません。パンデミックが始まって以来、新しい資金調達を取りまとめることから、新しい市場の調査、戦略的成長プロジェクトの支援まで、嵐を乗り切るために「総力を挙げて」投資先企業を支援してきました。また、少なくとも2021年末まで持ちこたえられるだけの資金を確保するよう、投資先企業にアドバイスをしてきました。特に、パンデミックの影響で財政が締め付けられ予算が限られている政府との提携を検討している企業にとっては、契約締結までに時間がかかっている状況を目にしています。

御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

それは間違いありません。エコシステムのレベルでは、この半年間、特にヘルスケアとバイオテックの分野で多くの資金調達活動が見られます。例えば、ベルギーが拠点のユニバーセルズなどです。私たちのポートフォリオでは、政府にサービスを提供するツールや、デジタル経済移行の加速により、B2BやB2Gの企業がこの時代で成功するための大きなチャンスが生まれていることを目の当たりにしています。

この1カ月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

2020年の間に希望を与えてくれた瞬間がいくつかありました。米国での人種問題の代償が、欧州で正義とD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の話題に火をつけたのを見て、より平等な社会を作るうえでのベンチャーキャピタルやスタートアップ分野の役割について、多くの希望を抱きました。Diversity VC(ダイバーシティVC)のようなイニシアチブは、そのような支援をしています。また、気候変動への関心が高まっていることから、培養肉や持続可能な包装など、非常に多くのスタートアップ企業が恩恵を受けています。このことは、経済的な実現可能性や、持続可能性の世界的な選択肢拡大に対する需要が、新たに大きな社会的課題となってきていることを示しています。

TechCrunchの読者のみなさんに何か伝えたいことはありますか。

ベルギーのスタートアップシーンは活気に満ち、活発で急成長しています。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:ベルギー

画像クレジット:Walter Bibikow / Getty Images

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Dragonfly)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。