AIを使って人間のように振る舞うロボットが出てきそうな昨今、外見からロボットと見破られないための方法も必要となるだろう。そしてNature Methodの記事によれば、ともかく外見を接近対象(人間など)と同じにするのが非常に有効なのだそうだ。外見を似せることで、RFIDタグの読み取りができるほどの近距離にまで、接近を許してくれることがあるらしい。
もちろん、人類に似せたAIロボットが人類を研究するというのはまだ先の話だろう。なので、Nature Method記事の有効性を確認するため、ペンギンを対象とした実験をみてみたいと思う。テリトリーを侵してコロニーへの侵入を企てると、ペンギンも(人間と同じように)大騒ぎになるのが普通なのだそうだ。
まず、ペンギン観察のために小型のローバーを使ってみたのだが、やはりペンギンにストレスを感じさせてしまっていたのだそうだ。そのような中、うまい方法がないものかと模索した結果、ロボットにモフモフのペンギン着ぐるみを着せてみたのだそうだ。するとペンギンに簡単に接近できたのみならず、暖を取るためのハドルに、ロボットペンギンも混ぜてくれたのだそうだ。
研究者の言葉を引いておこう。
コロニーを作っているペンギンに近づくための方策を探ろうと、コウテイペンギン(学名:Aptenodytes forsteri)へのアプローチを試みてみました。このペンギンは、コロニーの中では個別のテリトリーを主張しません。そのコロニーにローバーを送り込んでみたところ158羽中44羽(28%)が警告的な動きをみせました。この警告動作がみられたときには、直ちに実験を中止しています。ちなみに75羽(47%)は何の反応もみせませんでした。さらに39羽(25%)は自らローバーに近づき、接近してきたものがいったい何であるのかを確認しようとしていました。しかしローバーをペンギンの着ぐるみでカモフラージュしたところでは、成体・幼体双方のペンギンが、すぐ近くにまで接近することを許してくれたのでした。さらにはなんと、仲間に対するのと同様の声かけ行動まで確認することができました。すなわち、ペンギン社会にストレスを与えるkとなく、接近する手段を得ることができたわけです。
まさに研究者の言葉通りであるようだ。着ぐるみをきせることで、調査ロボットはペンギン社会にやさしく受け入れてもらえているようだ。将来的にはロボットにTシャツとジーンズを着せて、人間のフリをしてハッカソンに参加するようなロボットも登場してくるのかもしれない。但し、そういうロボットの登場までにはいましばらくの時間が必要だ。コウテイペンギンがシリコンバレーにいるはずもなく、カモフラージュによる異種生物交流の様子をみることも、いまのところはおあずけといた段階ではある。
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(翻訳:Maeda, H)