米国時間8月2日、マイクロソフトは同社のコーポレートブログに、米国でのTikTok買収の可能性についての議論を継続する声明を掲載した。声明の中には「米国の投資家」を少数派で参加させる可能性があるという記載もある。
今回の声明は、同社CEOのSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏とトランプ大統領との会話の結果だという。これまでの報道やTechCrunchの調査では、状況は完全にホワイトハウスの手に委ねられていると指摘されていた。同社は買収に意欲的だが、大統領の感情という障害物を抱えている。もし、ナデラCEOがトランプ大統領に直接接触したのであれば、TikTok米国事業の行く末は明るいものになるかもしれない。
声明には「ナデラCEOとトランプ大統領の直接交渉に続いて同社は、米国でのTikTok事業の買収を探索するための議論を継続する準備ができている」と書かれている。「マイクロソフトは、大統領の懸念に対応する重要性を十分に認識しています。完全なセキュリティ審査を受け、米国財務省を含む米国に適切な経済的利益を提供することを条件に、TikTokの米国事業を買収することを約束しています」ともある。
同社はいずれにしてもByteDanceからの買収に関する協議を2020年9月15日までに完了するとしており、大統領や米国政府との協議を継続する。今回の買収は、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでのTikTokの事業を対象としており、これらの市場ではマイクロソフトが所有・運営することになる。
声明には「他の手段の中で、マイクロソフトはTikTokの米国ユーザーのすべてのプライベートデータを米国内に転送したうえで米国内に残すことを保証します。これらのデータが米国外に保存またはバックアップされている場合、データが転送された後に国外のサーバからそのデータを削除することを保証します」とも記載されている。
ここでの歴史的経緯は、マイクロソフトが今回のアクションを起こしているのは、ByteDanceの最大市場の1つである米国でTikTok事業を継続するには事業売却の必要があるからだ。事の発端は、中国企業が運営するネットサービスでのデータの扱いについてホワイトハウスが強い懸念を示したこと。FacebookやTwitter、Googleなどのなどを含む多くのネットサービスが、グローバルでさまざまユーザーデータを集計・分析しているにもかかわらず、反中国の旗を掲げて、米国市民の膨大な量の行動データにアクセスできることが間違いないアプリ、つまりわかりやすいターゲットを狙う機会を得たわけだ。
一方でTwitter界隈では、トランプ大統領がTikTok上で彼をからかうことで人気を博したコメディアンに腹を立てただけだという説(Vouge記事)もあるが。
いずれにせよ、今回のことでTikTokの刻みの時計の中にもう1つの「トック」が増えた。関係者には手を差し伸べるが、この件に関しては先週末のバタバタしたニュースの最終的な結果になりそうだ。
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