マネックスグループがコーポレートベンチャーキャピタル事業を強化する。同社は2005年以降、子会社のマネックス・ビジネス・インキュベーションを通じてベンチャー企業に投資してきたが、4月30日に投資案件の獲得を推進するための「投資委員会」を設置。委員長には代表執行役社長CEOの松本大が就任し、社外のベンチャー企業経営者を委員として招聘する。これに伴い同日、マネックス・ビジネス・インキュベーションを「マネックスベンチャーズ」に商号変更した。金融関連のスタートアップなどに投資することで、本業のネット証券への相乗効果を狙う。
マネックスベンチャーズの投資委員会には、経済ニュースアプリ「NewsPicks」を手がけるユーザーベース代表取締役共同経営者の梅田優祐、資産管理サービスやクラウド会計ソフトを提供するマネーフォワード代表取締役社長CEOの辻庸介らが参加する予定。これらの企業は、いずれも過去にマネックスグループが投資した実績がある。投資対象は主にシード・アーリーステージのベンチャー企業で、当面は投資委員会のメンバーが持つ人脈を通じて投資先を開拓していく。
投資先は金融とITに軸を置きつつも、ライフスタイルを変革するようなIT技術を有するベンチャー企業を対象にする。とはいえ、金融を手がけるマネックスグループだけに「FinTech(金融関連のスタートアップ)はマネックスベンチャーに行くべし」というブランディングをしていきたいそうだ。マネックスグループの金融領域での上場経験をもとに、例えばコンプライアンス面でのアドバイスや金融庁対策など、独自のハンズオン支援が強みだという。
マネックスベンチャーズには松本のほか、自らベンチャー企業を設立してファイナンスを実施しているベンチャー企業の経営者も運営に関わっていることから、スタートアップの経営者と同じ目線で、成長ステージに合ったアドバイスをすることができるのが強みと言えそうだ。