ムスカは3月1日、大手商社の丸紅と戦略的パートナーシップを締結した。これにより両社は、国連が2015年に採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」を志向した社会、ビジネスの実現を目指す。
ムスカは、旧ソ連の研究を買い取って引き継ぎ、45年超1100世代におよぶ選別交配を重ねたイエバエを使って、生ゴミや糞尿などの有機廃棄物を約1週間で肥料・飼料化する技術を持つ。同社は、福岡県を拠点とする2016年設立のスタートアップ(研究拠点は宮崎県児湯郡都農町)。2018年11月にTechCrunch Japanが開催したTechCrunch Tokyo 2018の「スタートアップバトル」で、エントリーした100社超の頂点である最優秀賞に輝いた。
ムスカが保有する技術と、丸紅が長年の穀物トレードを通じて築いた世界中の一次産業生産者(畜産、穀物など)へのネットワークを融合させることで、有機廃棄物の処理に悩む生産者、自治体、食品加工業者、食品小売業者などに環境負荷と事業性を同時に改善し得るソリューションを提供する。
今回の提携について、ムスカ代表取締役会長の串間充崇氏は「ムスカの事業を世界へ普及させることが、世界の社会問題、地球の抱える環境問題の両軸を支えることにつながると考えております。長年の研究を重ねて娘のような存在であるうちのハエの魅力が、第一線で活躍する丸紅株式会社様にて評価されたことは、製品の可能性を市場から評価いただけたことだと考えております」とコメントを寄せてくれた。
そして代表取締役で暫定CEOの流郷綾乃氏は「今後も研究開発・サプライチェーン構築など、世界各国の先進企業との間で戦略的・相互補完的パートナーシップを築き、ムスカ事業を加速度的に広げて、我々のミッション『昆虫テクノロジーで世界の食料危機をなくす』を最速で達成させていくために邁進してまいります」と語った。
数年でのナスダック(NASDAQ)上場という高い目標に向けて突き進むするムスカ。今後、PoC(Proof of Concept、概念検証実験)ラボ、そしてパイロットプラントの建設が控えている。丸紅との連携が始まるのは8月ごろからとのことだが、同社の事業がアクセル全開になる日は近い。
TechCrunch Japan編集部も朝から心が震えた。