2015年の今、誰もが、メインフレームはコンピューティングの初期の遺物だ、と思うだろう。しかしその巨大マシンは今でも、大企業や大きな組織で大規模な計算作業をこなしている。
そして、メインフレームの不死鳥ぶりを証明するかのように、Linux Foundationが今日(米国時間8/16)、メインフレームコンピュータを使っている企業を助けるオープンソースの取り組みとして、Open Mainframe Projectを立ち上げた。
この事業は、今でもメインフレームマシンの最大のメーカーであるIBMが音頭取りだ。今日の同じ日に同社が、Canonicalとのパートナーシップによるメインフレーム上のUbuntu Linuxを発表したことは、決して偶然ではない。
Linuxがすでに15年間、メインフレーム上で動き、メインフレーム上のLinuxの使われ方も多様化し、ユーザのコミュニティも育っていることを知ったあなたは、驚くかもしれない。Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinが今日の発表声明で述べているように、今回のプロジェクトは、今でも成長を続けている需要への対応でもあるのだ。
このOpen Mainframe Projectにより、参加企業は一連のオープンソースツールの開発を共同して行い、メインフレーム上のLinux技術についても交流を深めていく。また各社が抱える問題についても、そのほかのオープンソースプロジェクトと同じように、共同で解決に取り組む。
“Open Mainframe Projectは、顧客とベンダとサービスプロバイダが一堂に会する場所を与える”、とIBM SystemsのゼネラルマネージャRoss Mauriは語っている。
IBMはすでに、25万行ノードコードをLinuxコミュニティに寄贈している。
Pund-ITの主席アナリストCharles Kingによると、初期のメンバーは、すでにメインフレームコンピューティングに深く関わっている企業、すなわちIBM、BMC、CA Technologies、そしてMarist Collegeだ。
IBMを筆頭とするメインフレーム企業は、メインフレームの導入費用と運用費用の両方を下げることによって、メインフレームのユーザを増やしていきたい意向だ。“今後の共同活動によってどれだけ新規のメインフレームユーザが増えるか、そこが焦点だ”、とKingは語る。
メインフレーム勢力がとくに望んでいるのは、新しい世代のデベロッパたちが関心を持ってくれることだ。そのためIBMは、クラウドサービスLinuxOneへのアクセスを無料にし、同社が開発したメインフレームシミュレーションツールを提供して、メインフレーム上のアプリケーションの開発を支援していく。またデベロッパが作ったメインフレームアプリケーションの、モバイルアプリケーションやハイブリッドクラウドアプリケーションとの接続性〜相互運用性についても、試験や調整を支援する。
結果について今から云々することはできないが、Kingが思い描くベストケースのシナリオは、このオールドスタイルのコンピューティングプラットホームを、一部のLinuxデベロッパが、おもしろい、と思うようになることだ。
この努力が、メインフレームへの新しい、若い、関心を育てるか、それはまだ未知数だが、プロジェクトの創始メンバたちは、そうなることを心から祈っている。