【抄訳】
算数は本来楽しいはずだが、毎日机に縛り付けられて大量のドリルやワークシートをやらされている子どもたちにとっては、どうか。元ゲームデベロッパだったファウンダが作ったLocoMotive Labsのミッションは、算数の基礎を勉強することを、学習スタイルの個体差を超えて、すべての子どもたちにとって楽しいものにすることだ。
同社の主力アプリTodo Mathはすでに110万回ダウンロードされ、カリフォルニア州バークリーに本社を置く同社は今回、シリーズAで400万ドルをSoftbank Ventures Koreaなどから獲得してアジア進出をねらっている。
ファウンダのSooinn LeeがLocoMotive Labsを発想したのは、特殊なニーズを抱える彼女の息子がきっかけだ。彼が生まれたあと、Leeと同じくゲームデベロッパだった彼女の夫は、彼のような子どもが学校の勉強にちゃんとついていけるためには何をすべきか、真剣に考えた。でもTodo MathなどLocoMotive Labsの今のアプリは、学習障害の子だけでなく、3歳から8歳までのすべての子ども向けに作られている。
“私たちが生まれた韓国は、進学競争などがものすごく激しい。そんな国へいずれ戻ることになるうちの子が、学校の勉強のいちばん初めの段階で、つまづかないようにするにはどうすべきか? それがこの会社を始めた動機だった”、とLeeは語る。
LocoMotive Labsの目標は、子どもたちが従来的な問題集などと苦闘するようになったとき、自信をもってそれらに取り組めるようにすることだ。
Leeは言う、“最初の段階で挫折したら、子どもは劣等感をもってしまう。その後も挫折が続いたら、もういいや、算数は嫌いだよ、になってしまう”。
Leeは、彼らの反面教師としてKumonを挙げる。1958年に日本で創業されたKumonは、一連のワークシートと教室での授業を通じて子どもたちに読み書き算数の力をつけようとする。Kumonのような放課後ビジネスは“学習塾”とも呼ばれ、日本や韓国、台湾などのアジア諸国でものすごく繁盛している(合衆国にも進出している)。でもLeeによれば、紙のワークシートは低年齢児童が算数の基礎を勉強するための、最良の方法ではない。
“ゲームのデザイナーをしてたから、とくに感じるんだけど、今はモバイルの時代だから、問題用紙を与えるよりも、もっともっと良い方法があるはずよ。ペンをまだ持てない三歳の子でも、タッチとスワイプはできる。ゲームはいつもユーザのことを考えて作る。どんなに良いゲームだと思っていても、子どもが気に入ってくれなかったら、そこで終わり。二度と見向きもされないわ”。
子どもたちがずっと持続的にのめり込んでくれるために、Todo Mathは宝箱を見つける探検ゲームを使い、問題を解くたびに箱の鍵を開けて宝物が獲得できる、というストーリーを利用している。LocoMotive Labsは合衆国のUniversal Design for Learning(学習のためのユニバーサルデザイン)に準拠して、どんな学習スタイルの子でも学べるような教科づくりを心がけている(たとえば子どもたちの運動能力の差にも配慮)。算数の課程も合衆国のCommon Coreに即しているが、これはシンガポールや日本の学校の算数教育の課程とやや似ている。
Todo Mathは、合衆国ではすでに学校の先生たちに受け入れられ、約1000の教室で利用されている。アジア進出の最大の課題は、教師や学校に、ワークシートよりもこっちの方が(子どもたちの自発的自主的な)学習効果が高い、と納得してもらうことだ。
【後略】
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))