ユニコーンのもっと良い見つけ方を考える

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編集部記:Tom Jacobsは、Kepler AnalyticsのCTOを務めている。

もちろんAirbnbは何十億ドルに値する。何にも使用されていない、価値ある不動産が多くあるのだ。賃料を捻出するのに苦労している人も多くいるし、ホテルは高額だ。

もちろんUberだって何十億ドルにも値する。タクシーは、酷いし、高額で、信頼できない。最後に乗ったタクシーは清掃されてすらいなかったと思う。

2009年頃、Airbnbを最初に聞いた時のことを思い出して欲しい。その頃私は、Airbnbを使ってサンフランシスコのスタジオ型アパートの部屋を貸し出したのを覚えている。1ヶ月間の会社の仕事兼旅行で海外に行くことになったからだ。その時は、このサービスについて深く考えなかった。1ヶ月分の家賃を支払わなくて済んだのは良かったが、Craigslistでも同じことができると思った。ただ、Airbnbには綺麗な写真がたくさん掲載されていて、物件を掲載するステップごとのウィザードは便利だった。かといって、Airbnbと同じだけCraigslistにも投資を検討していたと思う。

ボタンを押すと黒い車がやってきて、好きな所まで送り届けるスタートアップにアドバイスをしているとTravisから聞いたときもそうだ。面白いプロジェクトだとは思ったが、自分を含め他の多くのユーザーが使用しているところを想像することはできなかった。自分自身タクシーにはあまり乗らないし、頻繁に乗るには高い上、そのサービスは通常のタクシーの二倍の価格だったからだ。「ユーザー同士だったらどうだろうか。近くにいるユーザーが自分の車で他の誰かを送り届けるとか」とお金に特に厳しい友人は言っていた。

2015年の今から振り返ってみると、これらの企業が何十億ドルに値する理由は明らかだ。そして、あの時、腎臓も売り払ってでも全ての資産を彼らに投資すべきだったことが分かる。彼らは毎日、何百万ドルの大金を動かしているのだ。

2009年の時点では分からなかった。今私たちが持っている知識を一旦忘れ、2009年当時でも分かる、Airbnb、Uber、Twitter¹、Dropboxなどのスタートアップに投資すべき重要な判断ポイントを探す思考実験を行いたいと思う。そして2015年現在、そこで得られた考察を元に、今あるアイディアを改めて見てみたい。

共通するパターンを探すのではない。ユニコーン企業になるためには、独自の特徴的な洞察とタイミングが必要不可欠だからだ。しかし、今ある企業の中から5年後には一日に何百万ドルを動かしたり、何千万人の人が毎日時間を割いて使うサービスを見つけるのに、それらの企業に共通する事実を探っていきたい。

つまり、ユニコーン企業をどのように見つけるかを考えたい。

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VCの毎日の仕事の90%も、このような思考実験と、ポテンシャルを感じる人と話すことで構成されていると思う。

AirbnbとUberには、明らかな共通点ももちろんある。使用されていない資産の存在に気づき、基本的なスキルを備えていた。そして人々の年間支出の上位3つの内2つに目をつけた。(家賃:18%、食費:17%、交通費:16%)。あとは、自社のサービスを展開するのを妨害する社会的な圧力を克服するだけで良い²。

他のユニコーン企業に共通するテーマは、以下のようにまとめた。

Dropbox、 Box、 Evernote、 Slack:コンピューターは便利なものだ。

DeliveryHero、 Instacart、 Spotify:今すぐ欲しいから。

Atlassian、 MongoDB、 IronSource: ソフトウェアでビジネスが加速する。

Square、 Stripe::物事がすごく便利に、すごく簡単になった。

CloudFlare、 AWS: インターネットは現在進行形で起きている。レベルアップすべき。

Shopify、 Automattic、SurveyMonkey、 HootSuite:えっ、ということは、家からでも自分で会社を運営できるってこと?

Xiaomi、 Dianping、 Meituan、 Koudai、 Lashou、 Sogou: 中国は大きくて、オンラインに移行している。

Pinterest:コンピューターって楽しいもの、だよね?

評価額が10億ドルびったりの企業も多いが、リストに載るだけでも価値があるだろう。

現在「今すぐ欲しいから」のカテゴリーに注目が集まっているのは周知の通りだ。クッキー専用のUberなんかは、次の四角獣になるかもしれない。

私がこの企業群に共通する大きなトレンドは、驚くほど多くの人にテクノロジーが浸透したことで、それまでなかった人の動きや習慣を上手く捉えたことだ。(シリコンバレーは本来そういう所だ。誰でも安価で手に入れられるようになった新しい発明品を使って面白いことをしようとする文化がある。)

誰もがiPhoneという小さなコンピューターをポケットの中に入れ、強力なデスクトップブラウザが情報をプッシュし、サーバーもパワフルで安価なものが無数にある。それにも関わらず、今まで誰も銀行、電話、レストラン、人といったリアルの世界とコンピューターをつなげなかったのか分からないくらいだ。

ユニコーン企業を予想することは、次の10年で突然トレンドとなるもの、そして急拡大、急成長を遂げるものに賭けるということだ。

過去5年間で、どこからともなく現れたサービスが私たちの毎日の時間の使い方を刷新した。ソーシャルメディアにメッセージサービスだ。そしてインターネットは高速になり、どこからでも使用できるようになった。(最後のは突然出てきたものではなく、これから増強され、ステップ関数があてはまるようになるだろう。)

しかし私にとって、次の10年で注視したいと思う面白いトレンドは、「家からでも自分で会社を運営できるってこと?」の分野だ。

アメリカの労働人口の30%はフリーランスの仕事をしていた。それが今では40%に近づいている。これまで自分のスキルを活かして良い生活をするために、品質の高いプロダクトやサービスを作るには、大企業に勤めなければならなかった。歴史上、今ほどそれなりの規模の組織を運営したり、信頼できる価値の高いサービスを作ったり、一人でも自宅から簡単にできる時代はないだろう。技術者でない人でも、会社を設立し、プロダクトやサービス、スキルを提供することができるようになった。それも設備投資に何千ドルをかけるようなリスクを負わなくても済むのだ。

言葉を変えれば、これは「ソロプレナー(ソロの起業家)」の台頭だ。

Uberの運転手、Airbnbで部屋を貸し出す人、Etsyの販売者(プロダクトを手作業で制作するのは、セレブがそれに価値を見出して、1000倍の価格で買い取るようなことが起きなければ、最高のビジネスモデルとは言えないかもしれないが。)はそのようになりつつある。

あなたは、次の予想しない大波は何だと思うだろうか?2015年のスタートアップのアイディアの中で、次の波に乗れるラッキーな企業はどこだろうか?投資するまで胸に秘めておこう。


¹ Twitterに言及するつもりはなかった。Twitter自身、Twitterが何かを把握していないし、彼らが何故何十億ドルの価値があるかに単純な回答はない。Twitterがあれば、違う国の人ともつながることができる。私は、5000万人のオタクと起業家の済む国に移り住んだ。そこでは、友人と街で会えば、毎日ディスカッションをしている。どの街で生まれたかは関係なく、それぞれの考えがあって、この街にいるのだ。そのようなつながりを求める人が多いから、Twitterは何十億ドル企業に成長することができた。ユーザーエンゲージメントがあり、会社もユーザーのことを深く知ることができるから、お金も自然と流れこむ。
² もちろん、成功の大部分は運だろう。誰かがどこかの時点でそれを使いたくて、それにお金を払い続けた。そしてファウンダー個人のビジョンの強さもある。GroovesharkやPicPizは、SpotifyとInstagramの競合だが、両者には雲泥の差がある。完全な運任せではない。正しいビジョンと毎日全てが順調に進んでいるかを確認できるリーダーが必要なのだ。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。