中高生向けプログラミング教育を手がけるライフイズテックは、オンラインでプログラミングを学べるSNS「MOZER」を開発し、2016年6月15日よりその体験版『デイジーと秘密のメッセージ』を提供開始した(プレスリリース)。ゲームのように自分のアバターと他のキャラクターが会話を進めながら、Webデザインの基本を学ぶ構成だ。今後、各種プログラミング言語、AI、IoTなどメニューを増やしていく予定だ。
ライフイズテック代表取締役CEOの水野雄介氏は「教育には地域格差、経済格差がある。地方にいる子供は可能性が広がりにくい」と指摘する。オンラインで低価格に教育コースを提供することで、地域格差、経済格差を縮めていきたいとしている。価格は「1コース月額1500円から」。これは中学生のお小遣いでも支払える金額を意識したとのことだ。
同社取締役CTOの橋本善久氏は、セガで12年、スクウェア・エニックスで5年にわたりゲーム開発に携わってきた。今回の「MOZER」の作りはRPG風味が強いが、これには橋本氏のゲーム作りの経験が反映されているとのことだ。プログラミング教育のためのユーザーインタフェースはかなり作り込んでいる印象だ。例えばHTMLとCSSとWebページのそれぞれのウインドウを同時に表示し、コードを直すとその場で見栄えが変わる様子を体験できる。
MOZERはすでにプログラミング教育の現場に投入されているとのことだ。2015年末、2016年春のライフイズテックのキャンプで実際に子供達に使ってもらっている。PDFによる教材を使うコースで20時間かかった内容を、MOZERでは4時間でクリアできたという。
今後の展開だが、2016年内に、コミック作品「進撃の巨人」とコラボレーションしたコンテンツを予定している。エレンやリヴァイ兵長など登場人物からプログラミングを教わる内容になるとのこと。
発表会の現場では、MOZERの「体験版」をパソコンで試せるようになっていた。Flashを使ったWebコンテンツで、キャラクターと会話を進めるパートと、プログラミングを体験するパートがある。体験版の範囲では、表示されるヒントを読みながらタイプできればクリアできる内容で、目の前でWebページの内容が書き換わる様子を体験できた。個人的には「間違えたとき、どうやって前に戻るのか」に戸惑ったが、これは慣れの問題もあったかもしれない。体験版はすでに公開中で誰でも試すことができる。
ライフイズテックは2010年創業。これまでキャンプやスクールによるプログラミング教育を手がけてきた。同社の教育コースは急成長しており、参加人数は2011年の40名から2015年の1万3000名へと伸びている。今回発表のオンラインでのプログラミング教育コースが軌道に乗れば、よりビジネスをスケールできる可能性があるだろう。「2020年にはMOZERを1000万人に使ってもらいたい」と水野CEOは話している。