ラッパーのキラー・マイクが支援するマイノリティ向けデジタルバンクGreenwoodに大手銀行がこぞって出資

黒人、ラテンアメリカ人の個人やビジネスオーナーをターゲットにしたデジタルバンキングサービスのGreenwood(グリーンウッド)は、初めての預金を受けつけるより早く4000万ドル(約43億7000万円)を調達した。設立からわずか数カ月後のことだ。

新しいチャレンジャーバンクを支援しようと集まったのは、米国7大銀行のうちの6行と、決済テクノロジーデベロッパーのMastercard(マスターカード)とVisa(ビザ)だ。

Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)、PNC(ピーエヌシー)、JPMorgan Chase(JPモルガン・チェース)、Wells Fargo(ウェルズ・ファーゴ)、Truist(トゥルーイスト)という最大手銀行が、当時大統領候補だったBernie Sanders(バーニー・サンダース)上院議員の応援演説で「私は革命を支持する。私は急進的政策を支持する」と宣言した人物が共同設立した銀行に出資した。

 

このラウンドで金融の巨人たちに合流するのが、舞台裏のフィンテックデベロッパー、FISそしてTTV Capital、SoftBankグループのSB Opportunity Fund、およびLightspeed Venture Partnersといったベンチャーキャピタル企業だ。スポーツ投資家のQuality ControlとオールプロのNFLランニングバックAlvin Kamara(アルヴィン・カマラ)氏もラウンドに参加した。

ジョージア州アトランタ拠点のGreenwoodは、2020年10月に元アトランタ市長のAndrew Young(アンドリュー・ヤング)氏、Bounce TV(バウンスTV)ファウンダーのRyan Glover(ライアン・グロバー)氏らをはじめとするグループが立ち上げた。

「平均的白人世帯の純資産は、黒人世帯の約10倍、ラテンアメリカ人世帯の約8倍です。この貧富格差は修復可能な不平等であり、それには共同作業が必要です」とGreenwoodの共同ファウンダーでチェアマンのグロバー氏は声明で述べた。「主要7銀行の6行と2大決済テクノロジー会社の支援を受けたことは、黒人・ラテンアメリカコミュニティが持つ現在の影響力の証です。私たちは顧客の得るべき世界水準のサービスを提供する上でいっそう適した状況になりました」。

社名の由来であるオクラホマ州タルサのグリーンウッド地区は、1921年の大量虐殺で破壊される前、Black Wall Street(黒人のウォール街)と呼ばれていた場所だ。新しいデジタルバンクは、誰かが口座を開設するごとに5人分の食事に相当する金額を食料不安に取り組む組織に寄付する。そして顧客がGreenwoodデビットカードを使う度に、銀行はUnited Negro College Fund(黒人大学基金連合)、Goodr(食料不安に取り組んでいる組織)、またはNational Association for the Advancement of Colored People(全米黒人地位向上協会)のいずれかに寄付する。

さらに、毎月1万ドル(約109万円)の報奨金を、同社の金融サービスを使用している黒人またはラテンアメリカ人の小企業オーナーに提供する。

「Truist Venturesは、黒人・ラテンアメリカ社会における銀行取引の信用を高めるGreenwoodの革新的取り組みのためにシリーズA調達ラウンドをリードすることで、よりよい生活と社会の着想と構築を支援いたします」とTruistのデジタル・顧客体験最高責任者でTruist Venturesの代表を務めるDontá L. Wilson(ドンタ・L・ウィルソン)氏が声明で述べた。「この卓越したファウンダーの方々とともに仕事をして学ぶ機会を得られたことに加え、Greenwoodへの投資は、少数派の十分なサービスを受けていない人々の経済力を高めるという当社の目的と誓約を反映しています」。

現在までに50万人がGreenwoodで口座を開設するための順番待ちに登録している。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Greenwood資金調達

画像クレジット:Greenwood

原文へ

(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。