AIの進歩により従来は人力で対応せざるを得なかった業務が代替、軽減され、人間の働き方や役割も大きく変わってくるであろうことは日々議論されている。法律の専門家である弁護士の業務においても同様で、アメリカの大手法律事務所が法律のアドバイスをAIから受けることにしたというニュースは話題を呼んだ。これまでテクノロジーや自動化とは距離があった法律業界は今後急速に変化していくのかもしれない。今回リクルートホールディングスが出資したのも、まさにその分野でチャレンジをしている企業だ。
同社は3月8日、投資子会社であるRSPファンド6号を通じて弁護士や法務部門の一部業務を自動化するLegalogic Ltd.に出資したことを明らかにした。Legalogic Ltd.はイスラエルのテルアビブに拠点を置く2013年に設立されたスタートアップ。AIを用いて企業法務業務における契約書レビュー、及び修正を自動化するサービス「LawGeex」を運営している。
RSPファンド6号からの出資額は非公開だが、Legalogicとしては今回のラウンドで既存投資家であるLool VenturesやLionBird Venture Capitalなど複数のVCから合計700万ドルを調達しており、累計の調達額は950万ドルに上る。同社は今回の資金調達により今後アメリカでの営業活動を本格化させていく。
LawGeexは機械学習技術を通じて実契約書を学習し、契約書のレビューや修正、承認プロセスを自動化できるのが特徴。その企業特有の表現や用語を学習することで、高い精度でレビューを行える。現時点では、守秘義務契約や雇用契約をはじめとした30種類以上の契約書に対応しており、15社以上の導入実績があるという。レビュー所要時間を30分の1に削減、外部発注額を10分の1に圧縮するなどの効果も出始めているそうだ。
リクルートとしてはビックデータや機械学習技術を用いて人手業務を支援・代替する業務に注目をしており、人材不足と業務過多が続く企業法務の現場をサポートするLegalogicへの出資を通じて同サービスの拡大に取り組んでいく。
なおRSPファンド6号では2016年11月に人工知能を活用した営業アシスタントサービスを提供するConversica、同年10月に自律走行型配達サービスロボットのSaviokeと、人工知能を活用したスタートアップへ積極的に出資しているほか、国内のスタートアップでは同年8月にスペースマーケットへ出資をしている。