2019年12月31日、「Pallone-Thrune TRACED」法に大統領が署名した。ロボコールの背後にいる悪い輩を追い詰める超党派の法律だ。ワシントンで物事を動かすことはまだ可能なのだ!
TechCrunchは何度もTRACED法を取り上げてきた。ロボコールは大変迷惑なだけでなく、ハイテクがもたらす脅威でもある。巧妙なターゲティングと「なりすまし」の技術を用い、スキャマー(詐欺を働く者)は何百万もの電話をかける。電話の受け手をイライラさせるだけならいいが、最悪の場合受け手の隙につけこむ。
新しい法律がロボコールを一晩で一掃できるわけではないが、規制当局が行使できる手段は増える。筆者は12月初め、法案の条項を要約した。
- ロボコール迷惑行為に対するFCC(米通信委員会)の提訴期限を延長し、罰金を増額する
- FCCはスパムコールとスパムテキストから消費者を守るための規則を作る(すでに着手)
- FCCはロボコール対策に関する年報を作りFCC推奨の法案を作成する
- 発信者電話番号の詐称を防止するためにSTIR/SHAKENフレームワーク(発信者電話番号の詐称を防ぐ技術)の適切な導入スケジュールを策定する
- キャリアが上記サービスに課金できないようにし、合理的な範囲の錯誤による責任からキャリアを保護する
- 司法長官は犯行者の訴追のために多省庁にまたがるタスクフォースを召集する
- 司法省は犯行者を訴追できる
- 確実に規則を機能させ、関連団体からフィードバックが集まるようにするために、限定的または包括的な調査を行う
FCCのAjit Pai(アジト・パイ)会長は、声明で賞賛の意を表明した。
議会が、違法ロボコールや発信者IDのなりすましと戦うために超党派で動いたことを称賛する。そして、この法律によって追加の手段と柔軟性が与えられることについて、大統領と議会に感謝する。具体的には、提訴期限が長くなったため、より長期間当局がスキャマーを追跡できることを嬉しく思う。従来必要とされた、厳罰を課す前の違法ロボコーラーへの警告義務の削除も歓迎する。
また、詐欺やなりすましのロボコールに煩わされていることを常に喚起してくれた米国民に感謝する。ロボコールや悪意のあるなりすましの攻撃に立ち向かう我々の絶え間ない努力を後押ししているのは彼らの声だ。
FCCにできることは限られており、この1億2000万ドル(約130億円)といった巨額の罰金でさえ、悪名高い業界にはほとんど影響を与えていない。「ティースプーンで海水を全てすくおうとしているようなものだ」と、当時のJessica Rosenworcel(ジェシカ・ローゼンウォルセル)コミッショナーは述べた。
TRACED法が大きなスプーン以上のものになることを願う。規制当局と通信業界が体制を新たに整え、実際に問題に取り組む長いプロセスが始まる。実際に被害が減ったことを確認するには数カ月以上かかるかもしれないが、少なくとも具体的に対策が取られ始めた。
画像クレジット:Getty Images
参考:米下院と上院が迷惑電話のロボコール対策法案で合意、早急の制定目指す
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(翻訳:Mizoguchi)