世界的なパンデミックの影響を受けた多くの業界と同じく、不動産業界も完全に冷えきっているようだ。展示イベントが行えないため住宅販売数は急落し、客がいないため貸店舗の契約もなくなり、経済成長が見込めず、不透明な先行きのせいで投資家は数週間から数か月投資を控えているため不動産価格が下落している。
しかし、テック企業から見ると、不動産業界は今、会社を立ち上げて資金を調達するには最も面白い業界の1つかもしれない。いくつものスタートアップが何年にもわたってこの硬直化した不動産業界への参入を試みたが、昨今のコロナ禍によって不動産業界が厳しい状況に直面している今こそ、スタートアップが壁を破って参入するチャンスだ。
Disrupt 2020(米国時間9月14日~18日)のExtra Crunchステージでは、資産価値数兆ドルの不動産市場をこの21世紀の世界で活性化させようとする意欲にあふれた創業者向けに、どこにマーケットがありどのようなビジネスチャンスがあるのかを検討してみたいと思う。ありがたいことに、世界で一流と呼ばれる不動産関連テック投資家に、そのようなビジネスチャンスと今後の可能性について話を聞けることが決定した。
ステージには、Bain Capital Ventures(ベインキャピタル)のMerritt Hummer(メリット・ハマー)氏、Fifth Wall(フィフスウォール)のBrendan Wallace(ブレンダン・ウォレス)氏、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)のConnie Chan(コニー・チャン)氏をお迎えする。
ハマー氏は、ベインキャピタルの不動産テックおよびフィンテック分野のグロース投資パートナーだ。ハマー氏は数年前、Material Bank(マテリアル・バンク)に対する2800万ドル(約30億円)の資金調達ラウンドをリードした。マテリアル・バンクは、塗料の見本や材料見本の物流プラットフォームで、建設中に建築家や建築業者が適切な塗料・材料を選択できるように設計されたサービスだ。これは簡単そうに見えるが、決してそうではない。マテリアル・バンクはメンフィスにあるFedExの配送センターの隣に施設を建設し、ロボットを駆使して見本注文を顧客に短納期で納めている。
ウォレス氏はフィフスウォールの共同創業者です。フィフスウォールは不動産テックに特化したベンチャーキャピタルで、2019年の二次ファンドで約5億ドル(約536億円)、今年前半の小売り専門ファンドで1億ドル(約107億円)を調達した。フィフスウォールが出資している不動産系スタートアップには、Opendoor(オープンドア)、Hippo Insurance(ヒッポ・インシュアランス)、Loft(ロフト)などがある。エンジェル投資家としても長年の実績があるウォレス氏はIdentified(アイデンティファイド)を創設した実績もある(アイデンティファイドはその後Workday(ワークデイ)に買収された)。
チャン氏は、アンドリーセン・ホロウィッツのゼネラルパートナーとして、同社で米国、中国、アジア諸国間の橋渡し役を務めてきた。今、ソーシャルディスタンスを守るため、人が直接会う多くの展示ホールが閉鎖されている、チャン氏は今年前半、こうした現状に対応するバーチャルイベント開催用プラットフォームRun the World(ラン・ザ・ワールド)に出資した。この企業は最近投資先として人気があり、数週間前にも、Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)がリードする別の資金調達ラウンドを発表した。
この3人から不動産業界の現状について共に学ぼう。不動産業界は変化が激しく、トラクション(牽引力)を獲得することで影響力を発揮できる業界だ。また、リモートワークが急速に浸透し旅行・観光業界が大きく落ち込んでいる世界で、不動産の持つ意味についても視野を広げてみたいと思う。この機会をぜひお見逃しなく。
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(翻訳:Dragonfly)