不思議なソーシャルアプリYoのユーザーが100万人突破、Googleが保険に進出?―US記事ピックアップ

YoかMehか? TechCruch内でもYoに賛否両論

「よー」という一言だけを交換する奇妙なソーシャル・ネットワーク、Yoが意外な人気を集め、シリコンバレーかいわいの話題をさらっている。もともと今年のエープリルフールにジョークアプリとして公開されたものが、Twitterで話題になったのがきっかけであちこちのITニュースブログでも取り上げられるようになった。6月23日にはなんと100万ユーザーを突破した。

Yoは日本語の「よー」とほとんど同じような呼びかけの言葉で、最近アメリカでカジュアルな挨拶によく使われている。アフリカ系の若者から広まったらしいが、語源も流行の経緯も諸説あってはっきりしない。YoのiOS/Androidアプリにはこういう説明がある。

Yoは世界でもっともシンプルで効率的なコミュニケーション・ツールです。文字を使う必要なし。ワンタップでYoという一語を送ります。「おはよう」と言いたいときもYo、「会議が終わった」もYo、「きみを愛している」もYo。可能性は無限大です。

Jordan Crook記者はYoを紹介した長文記事で「YoはSnapchatなどと同様デジタルと現実世界を強く区別するデジタル二元論を乗り越えようとする動きだ」として高く評価した。簡単にいえば「現実世界でもYo!という呼びかけはコンテキストに応じてさまざまな意味を与えられて機能しているのだから、デジタル世界でも同じように機能するツールがあってよい」という意見だ。「Yo自身の流行はすぐに終わるかもしれないが、YoはSnapchatに代表されるようなより大きなトレンドを象徴している」とCrook記者は結論した。

しかし翌日さっそくMike Butcher記者からMehというユーモラスな異論が出た。Urban Dictionaryによれば、mehは「無関心」を表現する感嘆詞で、「肩をすくめる」のと同じような意味だ。例文として「夕食に何を食べたい? ―meh(どうでもいい)」というようなやりとりが挙げられている。Butcher記者はYoがそんなに素晴らしいコミュニケーション・ツールならMeh一語を送り合うサービスはもっと素晴らしいと皮肉る。「Mehは単なるアプリではない。<そんなことどうでもいい>という大きなトレンドの象徴なのだ」。

続いてSarah Perez記者がYo? No.という記事で「いいかげんにしして欲しい。マーク・アンドリーセンが何と言おうと、馬鹿げたものは馬鹿げている。Flappy Birdと同じようないっときの流行という以上の意味があるわけがない」とこてんぱんにやっつけた。個人的にはPerez記者に賛成だが、ジョークアプリが100万ユーザーというのはやはりすごい。しばらくにぎやかな議論は続きそうだ。

Google、ビッグデータ解析の強みを生かして保険業に進出か?

BCG(Boston Cosulting Group)とGoogleは共同で保険販売のデジタル化について研究したレポートを発表(PDF)した。これによると、2020年までに保険契約の75%はオンライン化されるという。 ノルウェイの財務コンサルタント、Christoffer O. HernæsはTechCrunchにGoogleは保険業界に進出する?(Will Google Enter The Insurance Industry?)という記事を寄稿し、Googleがビッグデータ処理能力を保険販売に活かせばAdSense以上の売上を得ることも可能だと論じている。

HernæsはGoogleがすでに2012年に自動車保険の比較サービスを買収していること、また最近のスマートサーモスタットと煙探知機のスタートアップNestの買収によってGoogleは将来は膨大なホームオートメーション情報を得られる可能性が出てきたことを指摘する。これらは損害保険の販売、あるいは損害保険広告の販売にきわめて効果的に利用できるという。筆者は「Googleが保険業界に進出することは確実だ。問題は付加価値の連鎖のどこに自らを位置づけるかだ」と結論している。

巨人の戦いが激化してインディーのクラウド・サービスに暗雲

US記事まとめでも触れたが、GoogleとAmazonがともにSSDによる高速ストレージを提供し、Microsoftがクラウドの無料ストレージ容量を大幅にアップするなどサービス改善の激しい競争が続いている。これにともなってインディー系のクラウド事業者のビジネスの先行きに懸念が広がっている。

IT企業の上場環境悪化に伴い、Boxが上場を再延期する可能性という記事によると、Dropboxと並んでクラウド・ストレージを代表するスタートアップのBoxが上場計画を再び延期するかもしれないということだ。この記事では株式市場の全体的な軟調が理由として挙げられているものの、巨人同士の戦いの激化と無縁ではないだろう。Amazon、Google、Microsoft以外でクラウド・ストレージ・ビジネスで生き残れるのは数社だろうという観測もある。

Facebookの新サービスSlingshotに特許の伏兵?

Facebookが先週公開したSlingshotは友だちから共有された写真を見るためには自分も何か写真を送り返さなければならないというユニークなしくみの新しい写真共有サービスだ。Facebookがこのサービスを立ち上げたのはSnapchatやLINEのようなメッセージ・アプリに対抗するのが動機と見られているが、SlingshotにはSnapchatの特許を侵害している可能性があるという。今のところ両社ともコメントしていないため詳しいことは不明だが、今後の動きに注目しておく必要がありそうだ。

自動走行車で巨人に挑むスタートアップ登場

Cruiseという小さなスタートアップが自動走行車のデモを公開した。既存の車両に後付もできるという。現在のところ高速道路の走行専用で適応車両もAudiのみだが、自動車メーカーやGoogleのような巨大企業の独占的な分野と思われていた自動走行車の分野に無名のスタートアップが参入してきたのは驚きだ。共同ファウンダーのKyle VogtはJustin.tv、Socialcam、Twitchを創立した連続起業家で、1万ドルで製品の予約を受付けているという。

自動走行車といってもGoogleカーのようにあらゆる道路状況に対応できるわけではなく、安全な前後間隔の確保と道路に沿って走行する限定的なハンドル操作を自動化するスマート・クルーズコントロールのように思える。また法規がどうなっているのかも興味があるところだ。

滑川海彦 Facebook Google+


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。