【編集部注】Bérénice Magistretti はサンフランシスコに拠点を置くスイス人フリーランスライターである。彼女はサウジアラビア、スイスその他の新興市場におけるスタートアップに焦点を当てている。
木曜日(7月14日)の夜「ザ・デイリー・ショー」のホストTrevor Noaが、シーバスリーガル社の主催する「The Venture」の資金獲得者を発表した。これはそれぞれの事業を善行のために運営している社会起業家たちに向けて与えられるものである。
その100万ドルのファンドを使って「The Venture」は、世界中の社会起業家たちが規模を拡大し、世の認知度を高めることが可能になるように努めている。
シーバスプログラムの一環としてファイナリストのグループは、オックスフォード大学のサイード・ビジネス・スクールのSkoll Centre for Social Entrepreneurship(社会起業研究所)が用意したAccelerator Weekプログラムに、今年の初めに参加している。
木曜日の最終審査で観客と審査員の前でのライブプレゼンテーションを許されたのは5つのグループだけだった。審査員には女優で慈善家のEva Longoriaや、(シーバスリーガルの親会社である)ペルノリカール会長兼最高経営責任者(CEO)のAlexandre Ricardも含まれている。
5つのグループ全てが最終的にファンドを得ることができたが、その中でも飛び抜けた勝者はConceptos Plásticos(30万ドルを獲得)だった。これはコロンビアに拠点を置く企業で、プラスチックやゴム廃棄物を恒久的な住宅の建築基礎の代替品として再生している。
この企業が持つトリプルインパクト(社会的、環境的、経済的)が、審査員に対する決定的なアピール要素となった。「ビジネスの観点から私たちは、企業が目指す目標、プロジェクトの影響の規模、そして長期的な持続可能性などに着目して審査を行いました」とRicardは語った。
資金獲得額20万ドルで2位だったのはWeFarmだ。この小規模農家のための知識共有プラットフォームは、インターネットにアクセスすることなく無料のSMSサービスを介して、農業のヒントや、質問と回答、そして回答のレーティングを共有することを可能にする。
5ファイナリストのうちの2つは同じ額の資金(10万ドル)を獲得した。イスラエルのスタートアップであるEyeControlが提供するのは、「体の動かない」患者がいつでもどこでもコミュニケーションをとることができるようにする、安価で、画面を必要としない、モバイル通信装置である。
グアテマラのWakamiは、グアテマラの16の農村地域で生産される手作りのファッションアクセサリーを、世界の20カ国の小売店にデザインして販売している。最後に、ドイツの Coolar(5万ドル獲得)はエチオピアやルワンダなどのオフグリッド地域において、ワクチン、医療品、そして食品保存用に、電源が不要で持続可能なソリューションをポータブル冷蔵庫の形で提供している。
残りの25万ドルは、最後の数週間にわたって行われてきた公開投票を経て、最も人気のあった複数の社会的企業へと割り振られた。Conceptos Plásticosはこの投票でも人気を集め、既に獲得した資金30万ドルに加えて更に5万3148ドルを持ち帰ることになった。
分配された100万ドルの基金は、企業の社会的責任に対して長い伝統を誇るシーバスリーガル社から直接拠出されたものである。
「我々はリターンを求める典型的な投資家にはなりたくないのです」とRicardは語った。「第一の基準は、なんと言っても社会や環境への影響なのです」。The Venture Fundが投資先企業の株式を所有することはない。
Longoriaはまた、教育と起業家精神を用いてラテン系移民を支援する彼女自身が運営する財団の視点からも、社会的影響力の重みを述べた。財団の見積もりでは、科学、技術、工学および数学系(STEM)の仕事は、現在米国内では70万人以上不足しているにもかかわらず、そうした仕事を得るために必要なスキルを得て卒業するラテン系の人材の割合はわずかなのだ。
「私がしようとしていことは、ラテン系の人たちがSTEM分野へ入るための教育なのです。何しろラテン系は米国で一番急速に人口が増えている集団なのですから、将来はこの国支える労働力になるのです」とLongoriaは語る。「私たちはそうした人たちを連れて、この先彼らの前に現れる機会へと導いて行かなければなりません」。
運動としての社会起業家精神は世界的な牽引力を持ち続ける、社会的な影響を与えることに特化したAcumenのような財団と共に。
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(翻訳:Sako)