世界最大規級の口コミサイト「Yelp」の日本語版サイトが4月9日にオープンした。スマートフォンアプリも各種アプリストアからダウンロード可能だ。アプリでは、ARを利用して近所のスポットを確認できる「モノクル」といった機能も備える。
Yelpは、これまで世界25カ国でサービスを展開してきた口コミサイト。2004年にサンフランシスコでサービスを開始した。2013年第4四半期には、ユニークユーザー数が1億2000万人を突破。また、5300万件以上のレビューが掲載されているという。
国内のサービスとしては、カカクコムの「食べログ」などと比較されることが多いが、国ごとに多少違いはあるものの、レストランのほかにファッションや美容、ショッピングなど幅広いカテゴリを持っている。
同時に、実名のレビューにこだわるのも特徴だ。サインインする際は、Facebookアカウントを連携するか、姓、名、郵便番号などの登録が必須となる。
Yelp 共同創業者兼CEOのJeremy Stoppelman氏は、4月9日から10日にかけて開催中の「新経連サミット2014」に登壇。参加者に聞いたところでは、同社がアジアで最初に進出したのはシンガポールであり、その理由は英語でサービスを提供できたためだと説明したという。日本での展開に関しては、検索も含めて言語面でハードルがあるといった話を紹介した。また、Yelpが実名を重視する点については、Facebookが日本で受け入れられていることを例に、「市場に受け入れられる」とした。
国内でも実名性の口コミグルメサイト「Retty」が登場し、現在は300万人までユーザー数を拡大している。Retty代表取締役の武田和也氏に、Yelpの日本参入について聞いたところ、面白い話を聞くことができた。
実はYelpのグルメカテゴリのレビューは、全体の割合から考えると決して多くないのだという(武田氏は「20%程度ではないか」と語ってくれた。ただし国内では現状レストランの口コミが約6800件と最も多いようだ)。そのため、Rettyとしては直接的な競合という意識はあまりないのだそうだ。ただし、「Rettyは食べ尽すと引っ越す文化になっている程食に情熱を持っている。食の分野では負けない自信がある」とのコメントを頂いた(Rettyはオフィス周辺のレストランを制覇しつつ赤坂、新宿、六本木、築地、恵比寿と都内各所に移転してきた)。
成功の鍵は東京五輪か
他媒体のインタビューでStoppelman氏が語っていたのが、「2020年に開催される東京五輪まで認知を拡大する」ということだ。
よくよく考えてみると、「日本人向けの口コミサイト」は前述のRettyや、老舗の「食べログ」などがある。しかし一方、東京五輪の観戦目的でやってくる外国人観光客のニーズを満たすサービスとしてデファクトスタンダードたるものはまだ存在しない。Rettyも英語化を進める予定だが、ターゲットはアジア中心になるという。
慶應義塾大学教授の竹中平蔵氏が所長を務める森記念財団都市戦略研究所の試算によると、東京五輪の経済波及効果は約19兆4000億円。海外ユーザーの多いYelpは、2020年までに国内でも認知され、東京五輪の恩恵を受けれることができるのだろうか。