ALLSTOCKERは、建設機械や重機を売買できるオンラインのマーケットプレイスだ。ALLSTOCKERを運営するSORABITOは、青木隆幸氏が2014年5月に立ち上げ、愛知に拠点を置く。ALLSTOCKERは本日、GMO VenturePartnersから1億円と複数のエンジェル投資らから資金調達を行ったこと、そして新たに東京拠点を構えたことを発表した。今回、TechCrunch JapanはSORABITOのCEOの青木氏に話を聞いた。
青木氏の父親が建設業を営んでいたこともあり、幼少の頃から建機は身近な存在であったと青木氏は言う。仕事も父親と同じ建設関連の仕事を選び、具体的には建機の買取販売、レンタルや貿易業に携わった。「建機は廃棄することは少なく中古品市場は充実していますが、取引の方法がインターネットが普及した今でも非効率的な部分が多くありました」と青木氏は話す。例えば、遠方の中古建機を購入する際の決済は、現金で行われることがありリスクを感じたという。また、中古建機を集めてオークション形式で売買することが多いが、オークションという性質上、必ずバイヤーは目当ての建機が購入できるとは限らない。国内ならまだしも、海外からオークション会場に足を運ぶバイヤーにとって、購入できなかった場合の交通費や滞在費、さらには人員がオークションに参加するのにリソースがかかり、損失が大きい。そこで青木氏は、何百人ものバイヤーにアンケートを取り、ネットで中古建機を売買できるプラットフォームがあればどうかと聞いて回り、ALLSTOCKERのアイディアと機能を固めたそうだ。
ALLSTOCKERは3月から検証目的でサービスをオープンしたが、すでに140カ国からのアクセスがあるという。また建機の掲載数も1万5000台となり、それは業界一位の水準だそうだ。世界各国からのアクセスがあるが、特にインフラ投資が盛んなカンボジア、インドネシア、マレーシアといった東南アジア諸国からの問い合わせが多いという。インフラ投資もさることながら、日本製の建機への需要が高いとALLSTOCKERは話す。日本製の建機は定価だと1400万円ほどだそうだが、中古建機なら600万から700万で購入できる。建機を必要とするこれらの国にとって新品は手を出しづらいが、中古建機でも日本製のものは品質が高く人気だそうだ。エントリーレベルの製品として購入してもらい、ゆくゆくは新品の日本製建機を購入することを期待しているという。
サイトの仕組みは、売り手が建機に関する項目を入力して掲載し、後は買い手が問い合わせて取引するという典型的なマーケットプレイスの形式だ。ALLSTOCKERのサイトは日本語と英語に対応している。アジアからの問い合わせが多いが、建機という実用的な商品を扱っているため、どのバイヤーも商品に求める情報は限定されているという。建機の機種や稼働時間といった項目が分かれば、互いに第二言語である英語だとしても取引がしやすい。ALLSTOCKERは必要な項目だけでなく、建機の写真を充実させているが、今後は建機の動く様子を撮影した動画なども掲載できるようにしたいと青木氏は話す。また、現在の取り扱いは建設機械や農業機械が中心だが、運搬車両を始め、産業用機械全般へと取り扱いを拡大する予定だそうだ。
今回ALLSTOCKERはGMO VenturePartnersの4号ファンドから資金を調達した。4号ファンドからはすでにビジネス用チャットサービスのChatWorkとLINEの元社長の森川氏が手掛けるC Channelに出資し、ALLSTOCKERは投資先第三弾となる。GMO VenturePartnersは、以前の3号ファンドでクラウドソースで仕事を受発注するランサーズやフリマアプリのメルカリなどのプラットフォーム関連のスタートアップに投資を行ってきた実績がある。「GMO VenturePartnersから出資を受けることにしたのは、彼らがITとリアルをつなぐサービスやプラットフォームビジネス、そして海外展開に強いからです」と青木氏は説明する。2、3ヶ月に及ぶ話し合いで、どのようにビジネスを進めると良いかが明確になったという。
今回の資金調達で、開発、営業、マーケティングの人材採用を進める予定だという。ALLSTOCKERは、国内の中古建機の売り手、そして海外の買い手の両方にアプローチをする考えだ。ゆくゆくは、アジア諸国に事務所を構えて現地でアプローチしていける体制を整えたいという。また、11月に大型で高額商品の掲載から決済まで、取引に最適化したALLSTOCKERのマーケットプレイスを正式ローンチする予定だ。