中国国家航天局は、同国による最新の月面着陸で撮影した全画像を公開した。そこには、かつて見たことのないフルカラー、高解像度の月面写真が何万枚も掲載されておりダウンロードも可能だ。
画像は月面着陸機Chang’e 3[嫦娥3号]および月面走行車Yutu[玉兎号]のカメラで数年前に撮影された。2013年12月、中国はロシア、米国の協力を得て月面軟着陸に成功し、世界で三番目にこの偉業を達した国となった。
中国のこの任務で特に注目されるのは、ロシアが37年前の1976年にLuna 24を着陸させて以来の月面軟着陸だったことだ。
現在、Science and Application Center for Moon and Deepspace Explorationのサイトに行けば、誰でもアカウントを作り写真をダウンロードすることができる。ただし、中国以外からアクセスすると接続がよくないため少々手続きが面倒かもしれない。
幸いなことに、惑星協会のEmily Lakdawallaが先週中国のデータベースを探索し、惑星協会ウェブサイトに中国の一連の月面写真を掲載してくれた。
Change’s 3は中国神話の月の女神から名付けられ、月周回衛星Chang’e 1およびChang’e 2の任務を引き継いだ。Chang’e 3の任務は軟着陸および月面走行に必要な同国の主要テクノロジーを誇示することだった。このミッションでは望遠鏡等の機器による月面の地質学的分析も遂行された。
質量1200kgのChang’e着陸機は、「雨の海」と呼ばれる月面位置に到達後、140 kgの月面車Yutu(「翡翠の兎」の意)を配置した。Yutu月面車は6輪で、レーダー機器、X線、可視および近赤外分光計(様々な波長の光の強度を測定する機器)を装備している。Yutuの地質分析結果は、月面がこれまで考えられていたほど均質ではないことを示唆した。
Yutuは月の極寒の夜に耐えることができなかったため、2014年初めに深刻な移動問題が発生し、月面を縦横に移動できなくなった。しかし、すばらしいことにYutuはデータの収集、送信、および信号の受信、画像・ビデオを記録する能力を2015年3月まで維持した。
地球との送受信の任務を担った月面車Yutuは、現在稼動していない。
中国の継続ミッションであるChang’e 4は、2018年初めには発射され、月の裏側に着陸する計画だ。もし成功すれば、中国は月の裏面を探索する最初の国になる。
Chang’e シリーズによって中国は、NASAと異なり、火星ではなく、月の探査に集中していることを示してきた。しかし、月に目を向けているのは彼らだけではない。Google Lunar Xprizeを通じて、いくつもの民間企業が、月面に軟着陸できる宇宙船を数年以内に計画している。
その中の一社であるMoon Expressは、月に宇宙船を軟着陸させる最初に民間企業になる計画で、2017年の宇宙船発射を既に確定させている。
人間が最後に宇宙船を月に軟着陸させてから40年近くが過ぎた。しかし、次の10年には、われわれが経験したこともない月面探険の波を見ることになるだろう。中国国家航天局がリソースを月面探査に宛て、民間企業が月面資源で利益を上げようと考えている今、月はこれまでよりずっと賑やかな目的地になろうとしている。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)