中国のテクノロジー界では、人材、イノベーション、ビジネスの観点から、アメリカと同じくらいAIに関する議論が活発に行われている。しかし、多くのAI企業がアメリカに拠点を構えようとする一方で、海外企業にとって中国進出のハードルは高い。
そんな背景を受け、この度新たなファンドが誕生した。中国でアクセラレータプログラムを運営するCOMB+が、中国進出を狙う海外AI企業のために6500万ユーロ(7700万ドル)のファンドを立ち上げたのだ。
先週、フィンランド・ヘルシンキで行われたSlushでお披露目されたこのファンドは、COMB+とBeijing Institute of Collaborative Innovation(BICI)が共同で設立したもの。COMB+は昨年、Sino Trackと名付けられたアクセラレータプログラムをローンチ。COMB+は同プログラムを通じて、北京とヘルシンキの拠点から、中国でのスケールを目指すアーリーステージ企業を支援しようとしており、このたび発表されたファンドは彼らの次なる一手と言える。
6500万ユーロの目標金額のうち、すでに半分以上の調達が完了しているとCOMB+ CEOのLeo Zhuは、TechCrunchとのインタビューで語った。具体的なLPの名前は明かされなかったが、政府系ファンドや政府系機関、私企業、大手企業など中国勢がそのほとんどを占めているようだ。
さらにZhuは、Sino Track同様、フィンランドからの投資にも期待していると話す。北欧からは19社がすでにSino Trackを卒業しており、COMB+はファンドの投資先としても北欧エリアに注目している。
「私たちは(フィンランドの)先進的なテクノロジーに感銘を受けた」と語るZhu。「エンジニアは通常5〜8年かけ、さまざまなテクノロジーについて学んでいる。中国は市場規模も大きいので、是非フィンランドの力を上手く活用したい」
また今回発表されたファンドでは、テクノロジーを含むさまざまな分野における中国・フィンランド両政府の協力関係を活用する目論見だ。
個別の投資額としては、100〜200万ユーロ(120〜240万ドル)の初期投資+フォローアップ投資程度を検討しているようだ。さらに各案件の上限は500万ユーロ(600万ドル)くらいになるだろう、とZhuは言う。
「私たちは、現地市場でビジネスの有効性を証明し、中国への進出を狙っている企業を投資対象として考えている」と彼は通訳者を通して語った。「そのような企業が、現状のテクノロジーを発展させ、中国市場でも活躍するための手助けをしていきたい」
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(翻訳:Atsushi Yukutake)