中国最大の自動車配車サービス会社Didi Chuxing(滴滴出行)が、自転車分野にも進出するかもしれない。正確にいえば、自転車シェアリングだ。Uberの中国ビジネス部門を買収締結中の同社は、米国時間9月26日、自転車の貸出サービスを提供する新手のスタートアップOfoに出資したと発表した。
今回の出資規模は何億ドル規模ともいわれているが、Didiの持分がどれだけかは不明だ。Ofoは今月すでに400万ドルの出資を受けたと伝えられているが、Didiの資金がそのラウンドの一部であったのか、あるいはその追加分であったのかは定かではない。
実際のところ、両社とも多くは語っておらず、Didiによる発表も1段落のみにとどまった。しかしどちらも今回の出資を「多層的なパートナーシップ」の一部であると呼んでいる。我々はこの言葉の真意について、またOfoとの提携プランについて追加情報の提供を依頼したが、Didiからの回答はなかった。
しかし行間を読むならば、Didiはこのタイアップによって、Ofoを自社アプリのオプションとして提供することで自転車業界へ進出する機会を得られる可能性がある。Didiの提供サービスは認可済みドライバーによるプライベートなタクシーサービスにとどまらず、運転代行、テストドライブ、コミュニティーバスサービスなどにも対応している。Uberなどの同業他社がすでに提供しているサービスにも同様に着手することになれば、学生軍団が漕ぐ自転車によるフードデリバリーや荷物の宅配のようなサービスが街中に広がるかもしれない。
Ofoは2年前に、北京大学のスタートアッププログラムの一環として設立された。中国の20都市に自転車7万台を保有し、150万人の登録ユーザーによって毎日50万回の利用があるという。中国における自転車の人気は絶大だ。北京のみでも900万台あるといわれ、それに着想を得たポップソングすら存在している。自転車の利用者は特に学生層が多い。
Didiによるその他の投資先をたどれば、さらに明確な戦略が「線」となって浮かび上がってくる。同社にはUberのライバルであるLyft(米国)、Ola(インド)、Grab (東南アジア) に、「成功事例」の共有や、各国を旅行するユーザーに各サービスの利用を促進するなどの連帯的連携の一部として出資した過去がある。しかし、DidiによるUberの中国部門の買収は、この提携関係を不確実性へと投げ入れた。 今回の取引によってこの中国企業はUberの投資者となり、代わりにUberがDidiの株主となるからだ。
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(翻訳:Ayako Teranishi / website)