中国の投資会社が4億ドルの資金を持ってAngelListと世界最大のシードファンドを展開

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巨額の資金が、重要な時期に到来した。

投資プラットフォームのAngelListは、Uberを含む650のスタートアップに渡り総額2億500万ドルを支援するまでにスケールし、さらに拡大することを目指している。

中国の大手投資会社は、今回このプラットフォームに資金とエンジェル投資家やシンジケートのノウハウを提供し、CSC Upshotという新たな4億ドルのシードファンドを展開する。このファンドは、中国で3番目に大きい投資会社であるChina Science & Merchants Investment Management Groupが運営する。彼らは120億ドルを現在管理している。

アーリーステージの企業に投資するファンドの中でもこれは最大級のものとなる。一般的に、ファンドが大きいほどリターンを得るためにグロースを推し進め、後期の投資ラウンドで投資する必要がある。

「投資会社は、手数料を得るために多くの資金を集めることが多くあります。ただ私たちのモデルでは、シンジケートの主幹事を追加することができ、同じステージの同様の企業に資金を提供し続けることができます」とAngelListの共同ファウンダーであるNaval Ravikantは言う。「CSC Upshotは、中国のLP(有限責任組合員)が世界展開をし、中国企業がスタートアップのシリーズDを待たずとも初期の段階での接点を持ち、彼らが世界でも競争していけることを見せる意味合いもあります」。

AngelListはファンドのために自社のプラットフォームでこれまで高いパフォーマンスの投資案件を見出した実績のある50の主幹事を選定するのを手伝った。この2年間、AngelListは「シンジケート」モデルを構築してきた。これはAngelListが、つながりを多く持っていて、高いパフォーマンスを出すエンジェル投資家に対し、彼らの個人的なネットワークから資金をプラットフォームに乗せるのを促すためのものだ。現在AngelListでは165のシンジケートに渡る4400名の投資家が活動している。

50の主幹事に加え、CSC UpshotはAngelList内に投資ラウンドに参加するかどうかを全員で投票するための自社ツールがある。

他にも小規模のファンドである、例えば2500万ドルのMaiden Laneファンドなどが同様のモデルを採用している。

Ravikantは資本の分配が適切ではない場合、市場を歪め、インフレを引き起こすリスクを認識していると話す。AngelListのプラットフォームの企業の平均評価額は、3年前の450万ドルから、今年の第3四半期には510万ドルまで上昇 している。2008年から多くのスタートアップを研究しているMattermarkによると、純粋なシードステージ向けの資本が近年になって多く流入し、スタートアップがシードを「卒業」してシリーズAに到達するのが難しくなってきているそうだ。

「管理が徹底されないと価格が変動し、市場が氾濫することになります」とRavikantはそのリスクについて考えていることを示した。「彼らは10億ドルに近い資金を提案していたが、それは多すぎると考えました。今回の4億ドルでさえ6年から8年かけて投資していく計画なのです。最初の1年は、2000万ドルから3000万ドル内で投資をし、モデルを検証してから、スケールさせようと考えています」。

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中国の企業と投資家がアメリカ企業に向けた資金投入を進めているのと同じ時期にこのファンドは登場した。AlibabaはSnapchatに2億ドルを春に投資し、数週間前、中国でUberのライバル企業であるDidi Kuaidiは1億ドルをLyftに出資した。中国の資本市場が全体的に減退する中、彼らの資金は他の多様な投資機会に向かっている。

後期のステージでの大型投資は目立つものだが、海外資金がシードステージの企業に向かう流れは見えづらいものだ。

「今年の初めから、中国LPが私たちのオフィスを訪問することが多くなりました。シリコンバレーにいる人たちは、彼らは多くの情報を手にし、すでにシリコンバレーで最も良い投資案件へのアクセスがあるのだろうと考えています。それを当然のことだと考えています」とRavikantは言う。「しかし、ニューヨーク、ボストン、アブダビや中国にいたら、そのアクセスはありません」。

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新しいCSC Upshotファンドに加えAngelListは他にもいくつか発表を行った。AngelListはエンジェル投資家が後続のラウンドで配分の権利を主張し、対象企業の保有株式の割合を維持したり、さらに投資したりできるようにするため専用の機能を提供する。

基本的にはエンジェル投資家がシンジケートに参加するためのソフトウェアと同じもので、それを後期のステージラウンドやリミテッドパートナー向けに拡張している。

3つ目の発表は、新しい仕事探し用のiOSアプリのリリースだ。AngelListは現在4万9000名のアクティブな転職候補者がいて、8100社がプラットフォームで採用を行っている。

新しい仕事検索アプリJobsはTinderに似た形式でリクルーターと候補者が互いに左右にスワイプする。AngelListはすでに月に5万2000回のマッチ(互いに興味があると示すこと)があったという。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

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TechCrunch Japan

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