中国最大級の顔認証ユニコーンMegviiが上海でのIPOを準備中

中国最大級の顔認証スタートアップであるMegviiは、上海での新規株式公開に向けて準備を進めている。中国時間1月12日に中国証券監督管理委員会が発表したところによると、同社はCITIC証券と協力して上場の準備を進めているという。

この動きは、顔認識プラットフォーム「Face++」で知られるMegviiが2019年8月に香港での株式公開を申請してから1年以上が経過してからのことだ。当時、ロイターは同社が5億ドル(約518億4000万円)から10億ドル(約1036億7000万円)を調達できるだろうと報じていた。しかし、香港での同社のIPO申請は非公開の理由で失効しており、現在は上海証券取引所ののSTAR Board(科創板)に焦点が当てられていると、この件に詳しい人物がTechCrunchに語った。

2019年、中国は長年にわたって米国に流出していた高成長で不採算の中国テックスタートアップを誘致するためにSTAR boardを設立した。一方、中国企業、特に政府との契約を頼りにしている企業や米中ハイテク競争に巻き込まれている企業にとっては、国内での新株発行がますます魅力的になってきている。

MegviiとそのライバルであるSenseTime、Yitu、CloudWalkは、その市場支配力と野心旺盛な投資家からの資金調達により、中国の「四大AIドラゴン」と総称されている。Megvii社の技術は、中国全土のスマートシティのインフラや、多くのスマートフォンやモバイルアプリの動力源となっている。創業以来10年の間にAlibaba(アリババ)、Ant Group、中国銀行などの投資家が、同社に約14億ドル(約1451億円)を出資している。

AIドラゴンズは、自国の市場以外ではあまり知られていない。2020年、Megvii、Yitu、SenseTimeは、中国西部のイスラム教徒少数民族に対する政府の大量監視を可能にする役割を果たしたとの疑惑で、米国の制裁対象リスト(エンティティリスト)に追加された。CloudWalkはその後、2020年に同じくブラックリストに追加され、米国のサプライヤーから切り離された。

中国の証券当局が掲示した通知によると、Megviiは米国の預託証券に似た、国内の投資家が海外の株式を保有できる中国預託証券(CDR)の発行を計画しているという。これは、北京に拠点を置くAIユニコーンが中国本土以外への上場を否定していないことを示唆している。

今週には、香港上場企業である世界トップPCメーカーのLenovo(レノボ)も、上海の科創板でCDRによる株式売却を計画していると発表した。

現在は申請前の段階でガイダンスを必要としており、Megviiの上場計画はまだ中国の規制当局の承認を必要としている。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:MegviiIPO顔認証

画像クレジット:Megvii

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(翻訳:Nakazato)

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TechCrunch Japan

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