オンライン家計簿で便利な機能のひとつが、ネット銀行やネット証券のログインID・パスワードをあらかじめ登録しておくことで、利用明細を自動的に取得してくれるアカウントアグリゲーションだ。マネーフォワードやMoneyLook、MoneyTree、Zaim、Kakeibon(旧OCN家計簿)などが軒並み導入しているが、このたび人力でレシート情報を読み取ってくれる家計簿アプリ「Dr.Wallet」もウェブ明細を自動取得する機能を追加した。22日からAndroid版で開始し、iOS版も順次対応する。
Dr.Walletはスマホのカメラでレシートを撮影するだけで、99%以上の精度で1日以内に専属オペレーターが人力でデータ化するというアプリ。商品情報をもとに、ショップ名や品目名から自動でカテゴリ分類を行う独自エンジンも搭載する。2013年12月にはニッセイ・キャピタル、インキュベイドファンド、SMBCベンチャーキャピタルの3社を引受先として約1億円の第三者割当増資を実施している。
Dr.Walletの特徴は人力によるレシートのデータ化だ。その一方、レシートが出ない家賃や光熱費などの銀行引き落とし、ECサイトなどでのクレジットカード利用については、ユーザー自らが手動で入力せざるを得なかった。アカウントアグリゲーション機能を追加したことで、これまでカバーできなかった銀行口座やクレジットカードの利用履歴を自動で取り込めるようになったというわけだ。現時点では以下の大手10行に対応している。
・イオン銀行
・じぶん銀行
・住信SBIネット銀行
・セブン銀行
・東京スター銀行
・三井住友銀行
・三菱UFJ銀行
・楽天銀行
・りそな銀行
・ゆうちょ銀行
競合サービスはほとんどが千数百行の金融機関と連携しているが、Dr.Walletもこの動きに追随する。夏までにクレジットカードや地方銀行、第二地方銀行、証券、FX、携帯、ポイント、電子マネー、主要ECサイトを含めた国内の金融機関など約1500行に対応する予定だ。
アカウントアグリゲーションの利用者はまだまだ少ない?
オンライン家計簿がこぞってアカウントアグリゲーション対応を進めているが、Dr.Walletを運営するBearTail代表取締役の黒崎賢一氏は、「意外にもアグリゲーション機能はハードルが高い」と言う。理由を聞いてみると、ユーザー側でネット銀行やネット証券のアカウントを登録している人が、まだまだ少ないためだという。
「正式提供に先立って試験運用を行ったところ、アカウントアグリゲーションに登録したのはアクティブユーザーのわずか4%程度。しかも、そのうち70%は登録に失敗していた。おそらく、ユーザーはネットバンク化していないか、自分のオンラインアカウントの情報を把握できていないのではないか。」
黒崎氏の話をまとめると、現時点でアカウントアグリゲーションは、ネットに詳しいアーリーアダプター層を中心に使われているようだ。詳細は明かされなかったが、今後は一般ユーザーのハードルを下げるべく「登録時に迷わないよう、今まで他社もやっていなかったサポートもやっていくつもり」と話している。