人力でレシートを読み取る家計簿アプリ「Dr.Wallet」運営元が1億円調達

レシートをOCRで自動読み取りする家計簿アプリといえば、クックパッドが出資した「zaim」や「ReceReco」などが人気だが、人間の手の力を借りてレシートを読み取ることで認識精度を高めようとしているアプリが「Dr.Wallet」だ。今年8月のローンチ時にも紹介したこのサービスを運営するBearTailが27日、第三者割当増資を実施して約1億円を調達した。引受先はニッセイ・キャピタル、インキュベイドファンド、SMBCベンチャーキャピタルの3社。

Dr.Walletのサービスイメージ

Dr.Walletはレシートを撮って送るだけで、99%の精度で1日以内にデータ化するという無料クラウド型家計簿アプリ。11月に東京・渋谷で開催した「TechCrunch Tokyo 2013」のスタートアップバトルにも登壇したBearTailの黒崎賢一氏は、OCRを活用したレシート読み取りには、撮影環境によって認識精度にばらつきがあり、結局は自分自身の手で修正しなければならない点を問題視。ならば「人間の力」を借りてデータ化すればいい、という発想でDr.Walletを開発している。

ユーザーが投稿したレシートのデータは、同社と守秘義務契約を結んだ約100人のオペレーターが手動で入力する。人間が入力するため、食券や長いレシートなど、既存のスマホアプリでは読み取りにくいレシートのデータも取り込めるのだという。商品名や店名から自動でレシートのデータをカテゴリ分類する機能も備える。

今回の資金調達では、データの誤入力を検出するシステムを構築する。具体的には、手動で何度も登録された品目と、文字列は似ているが意味を成さない単語を検出し、オペレーターに再度確認を促すようにする。レシートの商品名をもとに、ユーザーにクーポン付きの商品をオススメするサービスも来年1月から開始する。BearTailとしては、クーポン発行元の企業から徴収する費用を主な収益源としたいようだ。

今後は、独自のOCRエンジンを開発し、画像処理や機械学習なども組み合わせていく。データ化の費用は非公表だが、自動読み取りも併用することでデータ入力のコストを抑えていきたいという。


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TechCrunch Japan

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