今月の無謀な法案:下院議員、科学研究費助成に口を挟む

少なくとも一人の議員は、研究の価値の判断に関して世界一流の科学者たちよりも知識があるあると思っている。ラマー・スミス下院議員(Crunch政治家グレード:F)は、あの悪名高きStop Online Piracy Act[SOPA、著作権保護法案]の共同提案者であるが、このたび全米科学財団(NSF)理事長に対して、あらゆる研究について国家的優先順位をに従っていることを証明するよう求めた。これは現在の科学研究が十分な成果を上げていないという疑惑に基づいている。「議会であれ誰であれ、NSFがどのような科学研究を助成するかどうかについて個別に口を挟むのは危険な行動である」と、ジョン・ホルドレン大統領科学技術補佐官は、スミス議員が提案した「高品質研究法案」について語った。

Science magazineによると、同法案はあらゆる研究が国家的優先課題を推進し、「革新的」でありかつ「重複しない」よう、NSFの使命を変更させるものだ。残念ながら、重要な研究は「逐次的」でありかつ「並行」して行われることはよく知られた事実である。進化論と微積分はほぼ同時に発見された。科学はカオス的プロセスである。単一の「革新的」発見をトップダウンに管理することは、何千年来続く科学研究のやり方と矛盾する。たぶんスミス議員は誰も知らないことを理解しているに違いない。

公平のために言うと、NSFの助成すべてに価値があるわけではない。私は、議会による政治学研究予算の削減の決断を支持したが、これは4年間の大学院時代に、無用な学術論文に何百万ドルもの予算が捨てらるのを見てきた経験に基づいている。しかしその解決法は、実用的で社会的に有用な研究を実施してきた歴史をもつ成果評価制度を科学者や組織に任せることだ。発見プロセスを細かく管理することではない。

TechCrunchが全下院議員の通信簿を作った時、その目的は反革新的立法者たちが提案する法案に疑問を呈するためだった。その意味でスミス議員は期待を裏切っていない。[画像提供:米下院議会科学宇宙技術委員会]

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(翻訳:Nob Takahashi)


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TechCrunch Japan

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