介護士のシェアリングサービス「イチロウ」運営のLINKは10月22日、第三者割当増資として、6500万円の資金調達を9月1日に実施したと発表した。引受先は、ブラッククローキャピタル、三井住友海上キャピタル、マネックスベンチャーズの3社。
同社は愛知県名古屋市を中心にサービスを展開してきたが、今回の資金調達に伴い関東エリアでの本格的な展開や、プロダクトのさらなる磨き込みを行うという。カスタマーサクセスを中心としたオペレーション体制、象エリア内のケアマネジャーへの周知や取り込みなどマーケティング体制、「精度の高いマッチング」や「業務を最大限に効率化する」ためのシステム開発の強化を挙げている。
イチロウは、最期まで自宅で生活を送りたい要介護者と、そんな要介護者の家族のために、自宅や病院など様々な場面に介護士を派遣するサービス。
LINKによると、現在の公的介護保険サービスは、厳しい制度上のルールにより、自宅で最期を迎えたい要介護者の思いに応えられていないという。イチロウは、これまでの公的介護保険サービスの課題であったサービスの柔軟性の低さを改善し、要介護者が自宅で最期まで生活を送るサポートを行う。現代のテクノロジーを介護に活用することで、これまで軽視されてきたサービスの品質の向上にも取り組んでいるとした。
一方で、介護サービスを提供する介護士の賃金はとても低く、深刻な介護士不足を招いている。イチロウでは、介護士の低賃金を改善すべく、介護を必要とする人と介護士のマッチングからマネジメントまでの管理を独自のシステムで簡素化。業界平均の1.6倍の時給を支払うことを可能にしている。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、高齢者の集まる通所介護(デイサービス)や老人ホーム(特別養護老人ホーム・有料老人ホーム)ではなく、在宅介護が見直されつつある時代に、公的介護保険サービスと共に、新しい介護サービスの形を作っていくとしている。