音楽を聴きながら記事を書ける人を見ると、いつも感心してしまう。ぼくもときどきはやるけど、それは主に、そのときのオフィスに集中の邪魔をするあいつがいるときだけだ。ふだんはむしろ、音楽が鳴っていると書くペースは落ちる。
focus@willは、音楽が仕事の生産性を阻害する、という問題の解決を目指す。これまではWebサイトとAndroidアプリだけだったが。今日(米国時間5/31)はiOSアプリがリリースされた。
ファウンダでCEOのWill Henshallは、こんなものを作るのがふさわしいような人だ。彼はかつて音楽×テクノロジの会社Rocket Networkを作り、オーディオメディアの転送システムDigiDeliveryを作った。後者は2003年にAvid/Digidesignに売った。しかし彼はまた、プロのミュージシャンでもあり、ソングライターだ。バンドLondonbeatの創立メンバーの一人として、彼らのヒット曲”I’ve Been Thinking About You”や”Come Back”を一緒に作った。
Henshallによると、ほとんどの音楽は人を喜ばせ、集中を阻害するように作られている。しかもそれは、音楽の当然の目標だ。でも音楽と仕事の生産性は、往々にして仲が悪い。そこでfocus@willは、ライセンスを得た曲の中から人の集中を阻害しないものだけを選んでいる。むしろ逆にそれらは、集中力を高めるだろう。うち(focus@will)がいろいろテストしたところによると、ボーカルやサキソフォンなどのない曲が、集中の邪魔をしない。ただしHenshallによれば、それらは、人びとが完全に無視するエレベーター音楽とは、また違う。もっと詳しい説明を、focus@willのWebサイトから引用してみよう:
focus@willのシステムはあなたを集中に誘(いざな)い、そこにあなたをずっとキープする。それはバックグラウンドで機能し、あなたの脳の大脳辺縁系を秘かに鎮静化する。それはあなたの脳の中で、つねに、危険や食べ物やセックスなどの目立つものを探している部分だ。
focus@willが並べる音楽フレーズは、脳の慣性や、集中力の強化や、読む楽しみに影響を与える。音楽の音の高低、密度、アレンジ、スピード、情緒、録音方式などなど、さまざまな要素が、focus@willの選曲や曲順を決める際の基準になっている。
サイトには、もっと詳しい科学的な説明がある。よく分からないけど、ぼくの場合は、今朝focus@willをずっと聴いてみて、生産性が大きく向上したとは感じなかった。でも、一時間あまり集中力を削がれずに仕事ができたことは、ぼくにとってはある種の奇蹟だ。
このサイトで音楽を聴くときは、まずジャンル(クラシック、映画音楽、環境音楽など)を指定する。いやな曲をスキップすると、そのことをサイトは、次にあなたのための曲を選ぶときの参考にする。広告はないが、無料なら100分しか聴けない*。毎日無制限に音楽を流したい人は、毎月3ドル99セントの会費を払う。〔*: ボタンを押すとまた100分聴ける。〕
今回のiPhoneアプリは、WebバージョンやAndroidバージョンと基本的に同じで、iOSのハードウェア向けに若干最適化され、ポートレートとランドスケープの両モードで使える。ハードウェアという点ではとくに、iOS機のDSPを利用することによって、曲ごとにオーディオの設定を調整している。
その世界で一応のセレブであるHenshallの名を出さなかったことについては、“そもそも、アイデアがぼくのアイデアではない。だから、ぼくの名をかぶせるべきサイトではない”、と彼は言う。そしてfocus@willという名前を選んだことについては、“集中力(focus)を、そして人生そのものを、自分の意志(will)でコントロールできることが、会社のヴィジョンである”、ということだ。
focus@willはPritzker FoundationとSingularity Universityが支援している。
〔余計な訳注: 原文には、“サキソフォンがだめ”、とあるが、私個人的には管楽器はすべてだめだった。〕
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))