新しく母親になった女性は赤子を抱えて、私の少し先に座っている。娘が大きくなった時に見せるための仮想現実の録画で母親は娘に話しかける。とてもリアルな体験で、少し怖いくらいだった。私は母親が娘に話しかけている「空間」内を歩くことができた。彼女の後に回りこむこともできた。
これほどまで人が鮮明に映るVRを私は体験したことがない。
さらに面白いことがあった。この会社は、この録画の数週間後にも子どもの様子も撮影していて、子どもの「成長」を自分の目で見ることができたのは奇妙な体験だった。
これがニュージーランド、ロサンゼルス、サンフランシスコに拠点を置く8iの特徴だ。VRに人間味を与える事業に興味深い組み合わせの投資家が集い、シリーズAのラウンドで1350万ドルの調達を達成した。参加した投資家は以下の通りだ。RRE Ventures、Founders Fund Science、Horizons Ventures、Samsung Ventures、Dolby Family Ventures、Bertelsmann Digital Media Investments、Sound Ventures、Signia Venture Partners、Inevitable Ventures、Freelands and Advancit Capital、Kevin Wall、Jeremy Stoppelman、John and Andrew Hendricks、End Cue and Kortschak Investments、Rothenberg VenturesとBoost VCだ。
8iはコンテンツクリエイターが自分たちで3Dレンダリングの映像とVR体験を製作できるプラットフォームを製作している。デートアプリや映画撮影にそれらを利用することができる。360度の体験は8iが発明したもので、これに関心が集まるのは当然のことだ。Samsung VenturesやDolbyが投資に参加していることからもその人気ぶりが分かる。また、8iはコンテンツクリエイターが無料で使用できるスタジオをロサンゼルスに開設する予定だ。テクノロジーの周りにクリエイティブな作品が集まることで、プラットフォームは成長するだろう。
「私たちはとても難しい課題に注力しています。拡張現実に人を招待するのです」と8iのCEOであるLinc Gaskingは私に説明する。
人間的な要素に注力することは、 Gaskingと27名(現在拡大中)のチームにとって重要なことだという。チームメンバーはPixar、DreamWorks、YouTub、 Industrial Light & Magic、PayPal、Microsoft Research、Sony Computer Entertainment、Digital Domain、NVIDIA、Weta Digital and Valveといった企業の出身者だ。
「ゲームを作りたくはありませんでした。人間のつながりに焦点を当てたいのです。3次元でストーリーを伝え、人々がつながれる方法を作りたいのです」と8iのプラットフォームについてGaskingは説明する。ゲーム以外のものという話は、私も、そして投資家も聞きたかった話だ。
しかし、リアル過ぎるということはないのだろうか?VRを体験した人の中には、その中で見るものがあまりにも現実的過ぎて、身体が反応するという話を聞いたことがある。そういえば、8iのデモを体験で私は「崖」の上に立った。Gaskingは飛び降りてみてはと提案したが、全てが幻であるにも関わらず、私は飛び降りることはできなかった。
Gaskingはこれらの場面を開発する基本ルールは、まず安全を確保することとし、それは人への「敬意」を忘れないことと同義だと言う。一般的な人の許容範囲に敬意を払うことが、人にとって親切なVRの世界を設計するための鍵であると彼は言う。
8iの最終的な目標は、AR、VR、ウェブと切っても切れないプラットフォームになることだ。私が見た母親と子どもが気になるだろうか?ウェブ上のデモを見ることはできるが、VRの世界で見ないとその本質を「理解」することはできないと思う。
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