企業の「調達」を現代化、購入コストも10%削減させるFairmarkitが約31億円調達

パンデミックが猛威を振るう中、特に特定の分野での調達の重要性にスポットライトが当たっている。そんな中、ボストンのスタートアップであるFairmarkit(フェアマーキット)が、企業向けに現代的なデジタル調達システムを導入しようとしている。米国時間12月10日、同社は3000万ドル(約31億2000万円)のシリーズBを発表した。

ラウンドを主導したのはGGV CapitalとInsight Partnersで、既存の投資家の1984 VC、NewStack、NewFundも参加した。同社によれば、今回のラウンドにより調達総額は4200万ドル(約43億7000万円)になったという。

Fairmarkitの共同創業者でCEOのKevin Frechette(ケビン・フレシェット)氏は、同社はOracleやSAPのような、数十年前からある企業が提供する大規模な調達ソフトウェアシステムを置き換えることを望んでいるのだという。数年前に周囲を見回した彼は、この領域がレガシーベンダーでいっぱいであり、ディスラプションの機が熟していることに気がついた。

さらに、そうした既存のシステムは、50万ドル(約5200万円)とか100万ドル(約1億400万円)といった価格を超える、大きな購買だけを追跡するように設計されているという。それ以下の金額の購買は、テールスペンド(都度購買費)と呼ばれているものだ。「調達は、たとえば100万ドルを超えるような企業の最も大きな購買に焦点を当てていますが、それ以下の規模のものは忘れ去られ、無視されているのです。それはテールスペンドと呼ばれているもので、買うものの8割、ベンダーの8割、予算の2割を占めているのです」とフレシェット氏はいう。

こうした支出は数十億ドル(数千億円)を占めているものの、良い追跡システムを欠いているのだとフレシェット氏はいう。そこに商機を見出した彼は、共同創業者と一緒にソリューションを構築した。その最初の顧客は、ボストンの公共交通機関のMBTAである(より効率的にするためなら、手に入るものは何でも採用するというシステムだ)。現在では、様々な業界に50社以上の顧客を持ようになった。

このシステムは、ベンダーのためのマーケットプレイスとして機能し、顧客が100万ドル以下の価格帯で商品やサービスを見つけることができる中央購買システムとなっている。システムは顧客のベンダーデータをインポートし、これを他のデータと組み合わせて巨大な購買情報データベースを構築する。そこから、システムは顧客が何を必要としているかを判断し、AIを使って特定の注文に最適な価格を見つけることができる。

フレシェット氏は、このシステムは単に費用を節約する方法を提供するだけではなく(顧客は彼のシステムを使って購入コストを10%削減することができたと述べている)、女性、有色人種、退役軍人が経営するビジネスや地元企業など、多様なベンダーを発見できるようにする方法も提供しているいう。

彼によれば、こうしたベンダーたちが通常の調達部門での精査にかけられることなく、そのまま無視されていることがしばしば起きているという。だがFairmarkitはこうした企業を浮かび上がらせ、ビジネスチャンスを与えることになる。「私たちの技術の中核はベンダー推奨エンジンなので、【略】多様なベンダーを取り込むことができ、公平な機会を与えることができるのです」と彼はいう。

2020年の初めに40名の従業員を数えた同社には、その後30名が加わった。2021年にはその数を倍増させる計画だが、それに応じて多様な従業員基盤を構築することで、フレシェット氏は製品の多様性に反映させたいと考えている。

「本当にそれを前面に押し出しています。多様性や包含のために自分たちがどのようにすべきかを調査しているだけでなく、それを支援するためのプログラムを用意しています。これは私が本気で情熱を持って取り組んでいることなのです、なぜなら多様なベンダーの役に立つこともとても拘っている点なのですから」と彼はいう。

フレシェット氏は、社員をオフィスに入れることが許されないパンデミックにもかかわらず、なんとか会社を成長させ、その文化を築いてきたという。将来的には、オフィスが必須になるような世界は彼の視野には入っていない。

「今年、私たちは変曲点にさしかかりました。もはや全員が1つのオフィスにいる必要がある世界ではありません。【略】私たちは(地理的に)狭いセクターに縛られているわけではありませんから、それは私たちのビジネスを加速させるだけです。私たちは(どこからでも)横断的に活動することができるのです」と彼いう。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Fairmarkit資金調達

画像クレジット:Martin Barraud / Getty Images

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(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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