伝説のコーダーであるジョン・カーマックはOculusを辞職、個人的AIプロジェクトを追求

伝説のコーダー、ジョン・カーマック(John Carmack)氏は、6年過ごしたFacebookのOculusを離れ、個人プロジェクトに専念する。それは汎用人工知能(AGI:Artificial General Intelligence)、いわゆる「強いAI」(Strong AI)の作成に他ならない。彼は「コンサルティングCTO」の肩書でOculusとの関係を続けるが、おそらく全ての時間を、最終的には人類を超え破滅させるAIに注ぎ込む。

AGIまたは強いAIは、人間が行う方法とほぼ同じ方法で学習を行うAIの概念であり、現在私たちがAIと呼んでいる非常に狭い機械学習アルゴリズムのようには制限されていない。AGIとは、SFに登場するAIたちである。HAL9000、レプリカント、そしてもちろんターミネーターなどがそれに相当する。善いものもいる、たとえば、データやR2D2だ。

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これまでのところAGIは、研究者たちによるアプローチは言うまでもなく、厳密な意味で定義されていない。それは、そもそもそのようなことが可能なのかどうか、もし可能だとして、それを達成できるのかどうか、そしてそれが達成できるとして、私たちはそれを行うべきなのかという、未解決の問題なのだ。

カーマック氏はこの行動をFacebook上で発表した。彼はそこで、そのような魅力的で刺激的なトピックの不確実性こそが、まさに彼を惹きつけたものなのだと説明した。

ゲーム、航空宇宙、そしてVRで行ってきたすべてのことを振り返ると、型破りで証明されていないことでも、少なくともソリューションに対する漠然とした「見通し線」があることを常に感じていました。時には、ソリューションが全く見通せず、どのように扱えばよいかに悩む問題もありました。歳をとり過ぎる前に、試してみることにしたのです。

彼の計画は、それを自宅で「ビクトリア朝の紳士科学者」スタイルで追求しながら、子供を育てることだ。それはまるで、ほぼ動き始めた永久機関にフルタイムで専念するために、早期退職をするようなものだ。ただし、カーマック氏が実際に素晴らしいものを生み出すチャンスはあるかもしれない。

彼は、ビジョンと創造性を併せ持つまれな技術者であり、それがこれまで彼を技術の最先端に導き、ときには様々な方向へ後押しもしてきた。

しかし、Oculusでの彼の仕事とは異なり、私たちは彼が専念した仕事の結果を買うことはできない、なので私たちは何が生み出されるのかを、ただ待つことしかできないのだ。彼の幸運を祈りたい。だが彼がそれに注意深く取り組むことも願っている。

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(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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