中国EVメーカーのNioは第3四半期に4799台を納車し、売上高は35.1%増と大幅にアップした。コストの超過やバッテリーリコール、そして乗用車販売台数の減少やEV助成金の減額といったマクロ経済学的な環境で弱っていたNioにとって前向きな結果となった。
Nioは米国時間10月8日、「ガイダンスレンジの中間地点を499台(11.6%)上回った」とも述べた。
こうした納車状況が明らかになり、Nioの株価は9%超上昇した。米国時間10月8日にマーケットがひける前に1.69ドルで取引されていたNioの株価はそれでも1カ月前に比べると49%下がっている。
第3四半期にNioは5人乗りSUVのES6を4196台、そして高価な7人乗りプレミアムSUVのES8を603台納車した。2019年9月30日時点で、同社のES6とES8の累計納車台数は2万3689台で、そのうち1万2341台は2019年のものだ。
Nio創業者で会長、そしてCEOを務めるWilliam Li(ウィリアム・リー)氏は、納車台数を大きく増やすためにES6の価格をより競争力のあるものにすると約束している。彼はまた、ES6の航続距離を316マイル(約510km)に、ES8の航続距離を276マイル(約445km)に延ばす84kWhのバッテリーパックを搭載する車両の納車を10月から始めたと付け加えた。こうした航続距離の長いEV投入により、第4四半期は注文と納車が増えるとLi氏は見込んでいる。
Nioは前四半期にガイダンスの数字を達成するのに苦労した。同社は2018年6月に中国でES8の納車を開始。納車は当初、予想を上回るものだったが2019年になってスローダウンした。そして第1四半期に3億9090万ドル(約418億円)の赤字を計上した。不振は第2四半期も続き、4億6200万ドル(約494億円)の赤字だった。第2四半期の納車台数は3553台で前四半期より7.9%減少した。
この冴えない結果の改善策として、Nioは車両生産計画の変更、R&D部門のコスト削減と数千人の人員削減を挙げた。リー氏は9月の決算発表時に、同社が第3四半期中に従業員を9900人から7800人に削減する計画だと述べた。彼はまた、追加のリストラを実行し、いくつかの非コアビジネスを年末までにスピンオフさせるとも述べた。
中国での一連のバッテリー発火と、その後の調べで安全リスクにつながる脆弱性があることが明らかになり、Nioは6月、高性能SUVのES8を5000台近くリコールした。ES8のリコールは2018年6月に発売されて以降の販売車両の4分の1にのぼった。
同社はバッテリー製造を優先することで4803台のES8のリコールを完了させることができた。しかしこれは「車両製造と納車に大きく影響した」とリー氏は当時語っている。7月のEV納車台数はわずか837台だった。
ただ、リコール前の納車台数も落ち込んでいる。6月の納車は1340台、5月は1089台、4月は1124台だった。9月にはリバウンドし、2019台を納車した。
このバラ色の9月の数字がNioにとって幅広い意味での転換の始まりを意味するかどうかは不明だ。2014年に設立されて以来、同社の累計赤字額は60億ドル(約6430億円)となっている。中国におけるEV販売は低迷し続けていて、これは助成金減額の影響とされている。
画像クレジット:Visual China Group / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)