保険データ分析プラットフォームのPlanckがシリーズBで約17億円調達

保険引受のためのAIベースのデータプラットフォームであるPlanck(プランク)は6月10日、Team8 CapitalがリードするシリーズBで1600万ドル(約17億円)を調達したと発表した。既存の投資家(Viola FinTech、Arbor Ventures、Eight Roads)はすべて参加した。戦略的投資家としてNationwideとHannover Digital Investmentsも参加した。

ニューヨークに拠点を置くPlanckは、大手保険会社にデータ分析を提供する。このスタートアップは正確なクライアント数を明らかにしていないが、共同創業者兼CEOのElad Tsur(エラド・ツール)氏はTechCrunchに対し「米国の数十の民間保険会社と提携しており、その中に保険上位30社の半分以上が含まれる」と語った。Chubb、Great American Insurance GroupのRepublic Indemnity、AIGのAttuneなどがクライアントだ。

Planckは、レストラン、建設、製造など50を超えるビジネスセグメントに関するデータの分析のほか、労災保険や一般賠償責任保険などの保険商品を提供している。

「このプラットフォームはリアルタイムで洞察を提供できるため、保険会社にとっては新型コロナウイルスのパンデミックの間に増えた問い合わせへの対応が容易になることを意味する」とツール氏は説明した。Planckは、例えばコスト削減を必要とするビジネスオーナーがより安い保険証券を求めているため保険の新規申し込みが増えると予想している。一方更新の場合、企業は提供するサービスの種類など事業内容に大きな変更を加えたり、追加の補償範囲を求めたりする。つまり保険会社の従業員の多くはいまだに在宅勤務を続けているのに、取り扱い件数は増え続けているということだ。

Planckは、オンライン画像、テキスト、ビデオ、レビュー、公開情報など、さまざまなデータソースと、企業の名前と住所から、リスク関連の洞察を提供する。

「医療ビジネスを例に挙げる。Planckは、救急救命室のオペレーションを行っているなどの単純な洞察だけでなく、NIV(非侵襲的換気)機器の種類、オピオイド、行われる手術の種類などのより複雑な洞察も提供する」とツール氏は説明する。

Planckはツール氏、Amir Cohen(アミル・コーエン)氏、David Schapiro(デイビッド・シャピーロ)氏が2016年に創業した。ツール氏とコーエン氏はデータマイニングスタートアップのBlueTailの共同創業者だ。同社は2012年にSalesforce(セールスフォース)によって買収され、Salesforce Einstein(セールスフォース・アインシュタイン)に名前を変えた。シャピーロ氏は銀行および保険価格設定のSaaS会社Earnix(アーニクス)のCEOだった。今回のシリーズBで調達総額は2800万ドル(約30億円)になった。 新しい資金は、来年のドイツを皮切りに世界的な拡大に向けて使われる予定だ。

「ドイツを選んだのは、世界最大の商業保険市場の1つであり、非常にオープンで革新的な雰囲気を持っているからだ」とツール氏は語った。「当社のAIプラットフォームは言語に依存しないよう開発された。さらにグローバルな拡大に備えるため、英語圏以外の国でも当社の強みと能力を発揮したいと考えている」。

画像クレジット:Planck

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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