自費出版者などのための簡易eコマースプラットホームSellfyで、これまでのPayPalに加え、通常のクレジットカードも使えるようになった。クレジットカードの処理は、カナダと合衆国ではStripe、ヨーロッパではPaymillが行う。これで、このサービスの使いやすさがさらに向上した。Sellfyはラトビアのスタートアップで、Skypeの協同ファウンダToivo Annusが支援しており、利用者(売り手)は昨年の6月の3000名から、今ではその3倍の9000、売られている品目の数は16000となった。急成長ではないが、安定的に伸びている。
合衆国には類似サービスとしてKleiner Perkinsが支えるGumroadがある。ロングテールの自費出版者たちは、Sellfyを使ってeブックや音楽、ビデオ、写真など、どんなタイプのファイルでも売ることができる。そしてそのためのURLを、TwitterやFacebookなど各所で共有できる。
CEOで協同ファウンダのMaris Dagisによると、ここまでのSellfyはとくに、eBooksの出版者に人気がある。それは、Amazonなどに比べてプラットホームが取るマージンの率が低いからだ。すなわちSellfyでは5%、対してAmazonのKindle Direct Publishingでは30%の暴利を取られる。
彼曰く、“手数料に大きな差がある。Amazonでは、ビッグな売れっ子でもないかぎり、マーケティングや集客努力も全部自分でやるから、その費用や労苦も大きい”。
確かに無名のコンテンツは過剰在庫を抱えやすく、またマーケティングの費用もばかにならない。そういう人たちにとっては、Amazonの30%は大きすぎる。
“作者の多くは、オンラインのプレゼンス自体はブログやWebサイトやソーシャルネットワークなどでまかなえる。そしてオーディエンスに直接売ることだけを、Sellfyのようなプラットホームでやればよい。つまり、Amazonのようなマーケットプレースをバイパスできるのだ”、とDagisは述べる。
そのSellfyがStripeやPaymillのようなクレジットカードゲートウェイを統合したことによって、AmazonやiTunesなどのマーケットプレースをさらに本格的にバイパスできるようになった。たしかに、買い手にとっては、あのおなじみのPayPalボタンを押すことが、買うことの障害になりがちなのだ。
Sellfyは、リトアニアのスタートアップアクセラレータLithuanian StartupHighwayの出身だ。今ここは、“入学”を受け付けている。