個人間の無料送金アプリ「Kyash」iOS正式版を提供開始─残高を買い物で使うことも可能

スマホによる送金・決済システムを開発するスタートアップKyash(キャッシュ)は4月5日、個人間の無料送金アプリ「Kyash」iOS正式版の提供を開始した。

Kyashアプリでは、割り勘の精算や贈り物の共同購入など、個人間のお金のやり取りを手数料無料で、キャッシュレスで行うことができる。SNSや電話帳でつながるユーザーなら、相手がアプリを持っていない場合でも、送金・請求のメッセージを送信でき、アプリのインストール後にお金のやり取りが可能だ。

Kyash社は、2016年12月にシリーズAで10億円超の資金調達を実施。同時にKyashアプリのベータ版サービスを開始していた。その後、資金決済法上の第三者型前払式支払手段の発行事業者として2017年1月に金融庁から承認を受け、今回の正式版の一般公開に至った。前払式支払手段の承認事業者から提供される個人間無料送金アプリは、Kyashが国内初となるという。

この点は、同じく4月5日に「アプリなし支払い」機能を追加した「paymo」とは立ち位置が異なるところだ(paymoを提供するAnyPayは、収納代行サービスとしてのスタンスを取っている)。Kyashアプリは、法的にはSuicaやPASMOなどと同じ枠組みでプリペイド型のカードに近い。前払式支払手段を枠組みとすることで、本人確認の手続きを省略でき、アプリのインストールからすぐに使い始めることができるのもKyashのメリットとなっている。

一方でSuicaと同様プリペイド型なので、別のクレジットカードからのチャージや送金で得たお金を現金として引き出すことはできない。その代わりに受け取った残高を、VISAカードの使える店舗などで支払いに利用することが可能だ。Kyash社は「現金化ができることより、キャッシュレスで、スマホで人や店とのお金のやり取りを完結させたいと考えている」としている。

なお現状での支払いは、オンラインショップなどインターネット決済での利用に限定されている。Kyash社は「iDやApple Payなど、非接触型の電子マネー決済への対応に向け、事業者との話も具体的に進めており、今年夏ごろには実店舗でも利用できるよう目指したい」という。

また、現在はiOS版のみ提供されているKyashアプリだが、Kyash社では「学生など、iOSの利用率が高い若年層に向けてiOS版を先に提供開始したが、近いうちにAndroid版も提供を予定している」とコメントしている。

Kyash社では今後、2020年までにサービスの国内利用者1000万人を目指すとしており、事業・資本提携企業をはじめとする事業者との連携や施策展開を予定している。またKyash社からは「完全に独自でシステムを開発していることから、汎用性の高い通貨の送金を安く実現したい。単なる決済ゲートウェイではなく、新しい通貨プラットフォームを目指している」ともコメントがあり、海外への送金を安く提供するなどの海外展開も視野に入れているそうだ。

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TechCrunch Japan

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