個別指導サービスのEdTechスタートアップNerdyがSPACを介して上場へ

ギグエコノミーで駆動している消費者EdTechプラットフォームがニューヨーク証券取引所に向かう。

人気の個別指導事業Varsity Tutorsを所有するEdTechスタートアップのNerdy(ナーディ)は特別買収目的会社(SPAC)を通じて上場する予定だ。

Nerdyは、2015年に公開したSPAC、TPG Pace Tech Opportunities(NYSE:PACE)と合併する。取引は2021年第2四半期にクローズする見込みだ。

この取引でNerdyのバリュエーションは17億ドル(約1780億円)となる。合併を通じてNerdyは現金で7億5000万ドル(約785億円)を調達する計画だ。ここにはFranklin Templeton、Healthcare of Ontario Pension Plan、Koch Industries、Learn CapitalからのPIPE(私募増資)での1億5000万ドル(約157億円)が含まれる。

Nerdyの基幹ビジネスであるVarsity Tutorsは指導者と学生を大規模、小規模、1:1でマッチングする両面性を持つマーケットプレイスだ。学習プラットフォームは3000以上のテーマをカバーしている。他のEdTech企業と同様、Varsity Tutorsはより良いマッチングになるよう人工知能とデータ分析を使っている。加えて、2020年8月にVarsity Tutorsは従来の学校に代わるものとしてホームスクーリングのサービスを立ち上げた。公立学校やチャータースクールで以前働いていた120人のフルタイム教育者を競争力のある給料で引き抜いた。

財務実績

TechCrunchはNerdyのSPAC投資家プレゼンをレビューした。

Nerdyは、新型コロナウイルスパンデミックによるリモート学習の需要によって急成長してチャンスをつかんだ消費者EdTech企業の1つだ。2020年下期に同社は年換算売上高は1億2000万ドル(約125億円)を超えた。2020年第4四半期に同社のオンライン売上高は前年同期から87%成長し、オンライン有料アクティブ学習者の数は前年同期比59%増、有料オンラインセッションの数は同169%増だった、としている。

好ましいものになりがちな年換算業績ではなく2020年第3四半期から第4四半期にかけての実際の業績を掘り下げてみると、Nerdyは2020年の予想収益は1億600万ドル(約110億円)で、これは2019年の収益から16%増だ。

その成長レートは2019年の26%成長を下回り、2021年に予想している31%成長のおおよそ半分だ。しかしNerdyの2022年の予想はさらに強気だ。売上高は2021年予想1億3800万ドル(約144億円)から43%増の1億9800万ドル(約207億円)を見込んでいる。

同社がその目標を達成できるかどうかは今後明らかになる。SPAC主導のデビューにより同社は従来のIPO手法を踏んだ企業よりも関心を集めることになる。

Nerdyの成長は損失を食い止めてはいない。同社はまだ赤字だ。2020年に予想される純損失は2300万ドル(約24億円)で、2019年の損失よりも大きいが、2018年の赤字よりは少ない。2020年の成長をベースに考えると、同社の2021年の純損失は800万ドル(約8億4000万円)に抑えられ、2023年までに黒字化を達成する。

Nerdyは売上高が増える中で、2020年になぜ損失を減らせなかったのだろうか。セールスやマーケティング費用とは別に、同社のコストが控えめな損益につながった。特定領域の費用は2019年の3800万ドル(約40億円)から2020年の4400万ドル(約46億円)予想に増えた。

それとは対照的に、Nerdyの純損失は2020年にほぼ変動がなく、純差益は2019年のマイナス24%から2020年の予想マイナス22%に改善した。黒字を達成する方法もあるが、純利益を計上するのはわずか数年先のことだと同社が考えていることを財務は示している。

黒字化を達成するために、同社は2023年の売上高2億6700万ドル(約279億円)が必要だと予想している。これは2022年から35%成長で、粗利益率は2020年に達成した67%よりも5ポイント高い。

同社の事業をよく見ると、SPACブームで見られる共通の疑問が湧く。逆さ合併は、そうでもしなければ上場が果たせなかった短期の成長見通しが芳しくない企業を上場させるために使われているのだろうか。これまでのところSkillsoft、Meten International、そして今Nerdyと、数多くのEdTechスタートアップがSPACの手法を取っている

EdTechにとって2020年は力強い年となった。この分野のスタートアップの年間経常収支1億ドル(約105億円)を超えるにつれ、今後より多くのエグジットが予想される、とこの部門の投資家は話す。GSVのマネジングパートナーのDeborah Quazzo(デボラ・クアゾ)氏は2020年12月、「キャピタルマーケットの清算がEdTechで起こっています」とTechCrunchに語っている。「未公開企業と公開企業の間を流動的に動けることが厚みのある資本市場をともなうEdTech部門の特徴で、これはエグジットの選択肢がかなり限られていたかつてのEdTechと大きく異なる点です」。

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カテゴリー:EdTech
タグ:NerdySPAC

画像クレジット:creatarka / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi)

投稿者:

TechCrunch Japan

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