元サイバーエージェント西條晋一氏によるXTech Venturesが1号ファンドを組成、「ミドル層の起業をサポート」

元サイバーエージェント役員で多くの新規事業立上げを経験した西條晋一氏が代表取締役を務める独立系ベンチャーキャピタル「XTech(クロステック)Ventures」は8月6日、50億円規模の1号ファンド(XTech1号投資事業有限責任組合)を組成したと発表した。

主なLPはみずほフィナンシャルグループ、東京建物、グリー、あらた。投資ステージはシード・アーリーで、平均投資予定額は約1億円としている。同ファンドは8月3日にファーストクローズを実施、8月中にも投資を開始する予定だ。ファイナルクローズは年内を予定している。

XTech Venturesは「既存産業やIT業界のミドル層の起業をサポートし、多面的な経営支援・IPO支援を行うことで投資先企業の飛躍的成長を目指す」ことをミッションとしている。

起業というと大学生など20代の若い世代を想像しがちだが、なぜ、あえて30代後半から40代のミドル層に特化したサポートにコミットするのか。同社設立時点の2018年1月、西條氏も44歳だが、同氏はは取材に対し「30代~40代の起業家がネット業界で、あまり出てきていないから」だと答えた。

「インターネット業界が出来た2000年前後であればともかく、今は業界ができてから20年近く経っているので、それなりに経験者が育ってきていると思う。業界に5年~10年いた人の中には“自分でできる”層はかなりいると思うが、起業家が出てこない。そういう層をサポートしたいと思い、XTech Venturesを作った」(西條氏)

西條氏によれば投資家になったり、大きな会社にまた転職する人は多いが「絶対数がもっと欲しいのは“自分でやる”という人」だという。

XTech Ventures代表取締役の西條晋一氏

なぜミドル層は起業に消極的なのか。同社は「会社で出世しているからやめる機会がない」「昔のイメージだと起業はハイリスクだと思われがち」「家庭などある中で挑戦しにくい」などと分析している。そのようなイメージを払拭するために動いたのがXTech Venturesだ。

起業というと大学生など20代の若い世代を想像しがちだが、2015年に米国の時価総額1000億円以上のスタートアップを分析したTechCrunch記事によると、創業時の創業者の平均年齢は34歳。B2Cは30歳と若いが、SaaSだと35歳、コンシューマ製品/IoTは36歳、法人向けソフトは38歳となっている。

傾向として「スマホでB2Cの新しいサービスを立ち上げるのは30代。SaaSや法人向けのものはその業界にいた人たちがテックをマスターして始める」のでは、と西條氏は分析。

加えて、米国のthe National Bureau of Economic Researchが2018年4月に発表した調査によると、創業時にミドル層であった起業家のほうが若年層よりも成功を収めている傾向にあるという。西條氏はミドル層には「新規事業等経験していて経験豊富であるため、起業しても成功率が高い」「経験と人脈で大企業とのコラボがしやすい」などの強みがあると話した。

西條氏はVCのXTech Venturesと同時に兄弟会社「XTech」も設立。これは“既存産業×テクノロジー”で新規事業を創出するというコンセプトを持つ会社だ。「Startup Studio」という事業を行なっており、様々なフィールドの知識・ノウハウを持つ新規事業成功の経験者たちが、スタートアップを創出したり、成長を支援する。ミドル層にとって“アイディアの創出”も一つのハードルになっているが、そこはStartup Studioでサポートが行えると同氏は話した。

同氏は“既存産業×テクノロジー”の分野でもミドル層はその能力を大いに発揮できると語っていた。今後、日本でも勇気を持った30代~40代の起業家たちが多く出てくることを期待したい。

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TechCrunch Japan

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