33の州が約450例の電子タバコに関連する肺疾患の問題を調査していることを受け、元ニューヨーク市長のビリオネアで情報サービス会社Bloombergのファウンダーでもあるマイケル・ブルームバーグ氏は、電子タバコと戦うために1.6億ドル(172億円)を提供すると約束した。
ブルームバーグ氏は長年の禁煙キャンペーン支持者であり、禁煙を勧めるために数百万ドルを投じてきた。このたび同氏は、世界中のティーンエージャーを苦しませている電子たばこに目を向けた。
ブルームバーグ氏の望みは、フレーバー付き電子たばこの禁止と、未成年に対するベーピング(蒸気を利用した吸引)機器の全面販売禁止だ。
ブルームバーグ慈善財団が名前を上げているJuulのように、未成年によるベーピング製品の使用を防止する対策を取り始めていると声明で発表している会社もある。
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しかし、Juulのマーケティング方針変更は不十分かつ遅きに失した。ブルームバーグ財団によると、米国の中高生約360万人が電子たばこを使用しており、これは電子たばこ利用者全体の1/3に当たる。
かつてJuulが、未成年に対して積極的に宣伝していたことは周知の事実であり、今もソーシャルメディアには同社製品専用のアカウントがあり、未成年にアピールするユーザー作成ビデオやミームがあふれている。今年、Juulは大手たばこ会社で使われてきた販売戦術を利用して、多感な年齢層に自社製品を売り込んだとして非難を受けた。
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ブルームバーグ財団は、国の健康機関や消費者保護団体が電子たばこ製品に注意を向けている中、あえてプロジェクトを発足させた。
今月始めにCDC(疾病予防管理センター)は、米国の電子たばこ利用者の間で肺疾患が多発しているという調査結果を受けて電子タバコの使用をやめるよう警告した。
米国時間9月9日、食品医薬品局はJuulに対して、同社製品の安全性の虚偽表示および未成年への販売活動を行ったとして警告した。
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「政府は子供たちを危害から守る責任があるのにそれを怠っている。だからわれわれが行動を起こした。全米の都市や州の賛同者と協力して、子供たちを守るための法的措置を要求していく。未成年喫煙の減少は健康に関する今世紀最大の勝利の一つであり、たばこ会社にその進展を逆行させるわけにはいかない」とブルームバーグ財団のファウンダーで世界保健機関の非伝染性疾患予防世界大使、マイケル・ブルームバーグ氏が声明で語った。
1.6億円の寄付を表明するに当たって、ブルームバーグ財団とそのパートナーらは次の5つの目標を設定した。フレーバー付き電子たばこを市場から追放すること、電子たばこ製品が市場に出る前にFDAの調査ををけること、子供たちへの販売を禁止すること、年齢確認の確実な方法が見つかるまでネット販売を中止すること、低年齢の電子たばこ使用を追跡すること。
「電子たばこが若者に与える長期的健康被害についてもっと深く理解することが重要であり、CDC財団の目的は、効果的な政策を実行するためのデータを収集、評価することだ」とCDC財団の代表者であるJudith Monroe(ユディト・モンロー)医師は語った。「ブルームバーグ財団とそのパートナーが、若者たちを守るために蔓延する問題への取り組みに協力してくれることを感謝している」
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )