先週のUS注目記事 ― 「Twitter Offer」はクーポン体験を激変させるのか、および待望されつつある(?)「リトルブラザー」など

本稿では、先週の記事の中から日本語記事では紹介していないものの、注目に値すると思われる記事を紹介したい。まずは「Twitter Offer」。日本での実現可能性はわからないものの、とても面白そうなサービスだ。

Twitter、新しいクーポンシステムを実現するTwitter Offerを提供開始

ネットコマースが普及し始めた2000年頃から、「クーポン」の仕組みを効率的に取り込みたいとするサービスがあちこちから提供されてきた。「クーポンマーケット」上でクーポン交換をシステム化しようとする試みなどがあったが、結局はネットコマース以前の仕組みを踏襲することになっているというのが現状だと言えるだろう。

そこに新たな動きをもたらすかもしれないのが「Twitter Offer」だ。「Twitter Offer」を通じて提供されるクーポンは、店舗で提示する必要がない。すなわち、小売店舗側はオペレーション変更の必要が一切ないのだ。

英文記事:Twitter Expands Its Commerce Lineup With Twitter Offers, Which Link To Your Credit Or Debit Card

クーポンは利用者のクレジットカードないしデビットカードとひも付けされる。利用者がそのカードを用いて決済すると、消費者・小売店の購買・販売行動に何の変化もないにも関わらず、クーポンによる割引が適用される。

会員カードや割引チケットについては、「わざわざ提示する」という手間や、「クーポンの種類に応じたオペレーションが必要となる」という面倒があった。そうした手間を一切無くすことにより、消費行動に「大きな変化」をもたらすことも考えられる。

現在のところ、アメリカ限定の、試験運用ではある。しかしこれは、Twitterの収益性を巡る議論に大きな変化をもたらすサービスとして成長するかもしれない。

政府のビッグブラザーに対抗するリトルブラザー

話は全く変わる。「マイケル・ブラウン射殺事件」については、日本でも広く報道されている。

この事件を巡っては「リトルブラザー待望論」とでもいうようなムーブメントがあるのが興味深い。TechCrunchの記事にも「Grab Your Cameras, We Are Little Brother」(仮題:ウェアラブルカメラでリトルブラザー化して自分を守ろう)という記事が掲載されていた。

記録装置(カメラ)が安価に、かつ身近になることで、法的不利益を生じさせない対策が可能だろうとしている。さらに、日本のメディアでも報じているが、警官には常にウェアラブルカメラを装着させるべきだという運動も広がっているらしい。

日本でも、警察官の取り調べをICレコーダーで録音しておいたことがきっかけで、警官側の対応が問題視されるような事案もあった。警官のウェアラブルカメラ義務化は、問題発生を回避する素晴らしいプランとしての面もある。ただし、「権力」が常に情報を記録し続けることを問題視する動きもある。

ジョージ・オーウェルが想像していたテクノロジーは確かに現実化した。ただし、それは公権力側においてのみではなく、市民の側においても利用可能なものとなりつつある。

権力と市民とテクノロジーの関係については、「権力+テクノロジー=悪」という形ではない、新たな考察が必要な時期になっているのかもしれない。

恒例のギフトガイド

過去のホリデーギフトガイドを見てみると、意外に記事に影響されて購入しているものがあることに気づいた。たとえば2012年にはダイソンの掃除機を購入した。

他にもたとえば「Mujjoのタッチスクリーン操作が作可能な手袋」なども購入している。

今年は今のところ物欲はおさえられているけれど、やはりいろいろなギフトガイド記事が登場している。「A Gift Guide For Watch Lovers, The Guy’s Edition」や「A Gift Guide For Watch-Loving Ladies」といった腕時計リストは、来年にはスマートウォッチに置き換わるのだろうか。

少し物欲刺激力が強いと感じたのは子供向けのギフトガイドである「A Gift Guide For The Childless Who Have To Buy Gifts For Children」と、スマートホーム・スターターキットの「A Gift Guide For The Starter Smart Home」だ。

たとえば子供用ガイドの方には「LittleBits」も掲載されている。

LittleBitsについては、これまでもいくつもの記事を翻訳で紹介している。たとえば「電子版レゴブロックのlittleBitsとNASAが連携。宇宙を身近にする“Space Kit”を発売」などは多くの人に関心をもってもらえたようだった。

LittleBitsが公式にリリースされたのは2011年のことだった。これまでにTrue Ventures、Khosla Ventures、Foundry Group、伊藤穰一、ニコラス・ネグロポンテ、Joanne Wilsonなどから1560万ドルの資金を調達している。元々は音と光を組み合わせて遊ぶツールだった。

という説明だけでも、ちょっと欲しくなってしまう。

子供用タブレットというのも面白そうだ。

年末商戦の勢いはいかに?

と、いうわけで一年もそろそろ終わりだ。プレゼントを贈る人は準備に大忙しだろう。それともネットで用意できるようになって忙しさは軽減されただろうか。だんだんと日本にも普及させようとする動きもあるらしいブラックフライデーから米国の年末商戦も本格化している。

最後はその記事で結ぼう。「Black Friday Online Sales Up 8.5% Over Last Year, 20% Of Sales Came From iOS」(ブラックフライデーのオンラインセールスは前年比8.5%増、トラフィックの20%はiOSより)の記事だ。

オンラインセールスに占めるモバイル比率が大いに高まりつつあるようだ。記事によれば、感謝祭の日におけるオンラインセールスでは、モバイル比率がついに半数を超え、ブラックフライデーでも46.7%を占めたのだそうだ。これは昨年比で24.2%増となるのだとのこと。

モバイルの普及とともに、オンラインで購入できる商品幅が広がっていることも影響しているのだろう。

Maeda, H


投稿者:

TechCrunch Japan

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