スマートデバイス向けのゲーム開発を手がけるワンダープラネットは7月31日、Eight Roads Ventures Japanを引受先とする第三者割当増資を実施し、総額10億円を調達したと発表した。
ワンダープラネットにとっての最大のヒットタイトルが、iOS/Android端末向けスマホゲームの「クラッシュフィーバー」。パズルゲームとロールプレイング・ゲームの要素を組み合わせたゲームシステムが特徴だ。
同タイトルのダウンロード数は全世界累計で800万件。ワンダープラネットは2016年5月に台湾、香港、マカオ版を配信開始しており、2016年9月には台湾と香港のApp Storeセールスランキングで第1位を獲得した。続いて2016年10月には15言語対応のグローバル版を世界各国に配信している。
ワンダープラネット取締役兼CFOの佐藤彰紀氏によれば、800万の総ダウンロード数のうち約半分が海外でのダウンロード実績なのだとか。デイリーアクティブユーザー数は非公開だが、「全世界合計で数十万DAU」(佐藤氏)だという。
ワンダープラネットの特徴は、海外マーケットにおけるパブリッシングを自社で行っている点だ。「自社でパブリッシングを行うと、当然運営費やマーケティング費などが増大する。しかし、業者との収益分配や内製化による運営のしやすさなどを踏まえれば、最終的にはこの方法のほうが成功確度が高く、かつ得る収益も多くなる」(佐藤氏)
ゲームを世界に配信する一方で、コストのかかる過度なローカライゼーションを行なわないことも同社の特徴だ。佐藤氏は「各国限定のキャラクターなどは導入するが、コア部分に変更は加えない」と話す。例えば、北米と日本では好まれるグラフィックのテイストが異なるが、本当に面白いゲームはそのままでも通用するというのが彼らの考えだ。
2016年8月期の決算公告によれば、現在ワンダープラネットの売上高は約18億2300万円で、最終損益が約2億7000万円の赤字となっている。クラッシュフィーバー単体での売上高は数億円前半の規模だと見られる。
開発費が数億円規模の新作タイトル開発へ
ワンダープラネットは、今回調達した10億円を利用して新作タイトルの開発に乗り出す。同社が「超大型版権ゲーム」と呼ぶそのタイトルの開発費用は数億円規模だという。ワンダープラネットは詳細をまだ明らかにしていないが、今年中には新作ゲームの詳しい内容を発表する予定だ。
調達資金のもう1つの使い道が、クラッシュフィーバーの海外展開の強化だ。ワンダープラネットは韓国と北米向けビジネスを強化するほか、2017年度内に中国本土への配信開始を予定している。
自身もDeNA時代にゲーム開発に携わっていたEight Roads Venturesの深澤氏は、ワンダープラネットへの資本参加について以下のように語った:
「Eight Roads Venturesはヨーロッパのゲーム会社であるInnoGamesで2億6000万ユーロ(約330億円)のエグジット実績があり、その知見が活かせると考えている。また、私がDeNA時代に関わっていたゲームが結果的に失敗してしまうという苦い経験を味わったこともあるが、その経験から得た学びも活かしたい」。