Nicole Poindexter(ニコール・ポインデクスター)氏がエネルギー効率にフォーカスしたスタートアップであるOpowerを、同社が上場してから数カ月後に辞めたとき、彼女にはまだ次の構想がなかった。
2014年当時の米国では、再生可能エネルギーの運動はまだ反対勢力が強かった。しかし同氏には、再生可能エネルギーの恩恵をアフリカに持ち込む機会だと考えていた。
「100%再生可能エネルギーだけのグリッド(送電網)を作ることは、当時の米国では解決可能な問題ではなかった。しかしアフリカに目を向けると、グリッドという資産はあまりないと聞いたので、このアイデアを試してみることができるかもしれないと思いました。市場調査をしてみると、電気のない生活がどういうものかを知り、人間のそんな状態は受け入れられないため自分で何かやってみようと考えた」と同氏はいう。
そして同氏は、SunEdisonの開発エンジニアで役員だったJoe Philip(ジョー・フィリップ)氏との知己を得て、2人でEnergicityを創業し、アフリカのいわゆるオフグリッド(大手電力会社の電力網に繋がっていない自給自足の電力網)のコミュニティに再生可能エネルギーのマイクログリッド(小規模な送電網)を作ろうと志した。
「彼は常に、太陽光発電を導入するための正しい方法はオフグリッドで行うことだと考えていた」と共同創業者についてポインデクスター氏は語っている。
Energicityでは、両氏が適切なコミュニティを見つけ、プロジェクトの開発やマイクログリッドの運用を行っている。これまでのところ同社のプロジェクトは、政府の補助事業への入札で勝ったものが多い。「最近はシード資金として325万ドル(約3億5000万円)を調達できたため、政府の補助事業への依存から卒業できる」とポインデクスター氏はいう。
「ベニンとシエラレオネでの譲歩は、私たちが勝ち取ったものです」と同氏は語る。「今後はもっと地域に根ざした成長をしたい。トラックを運転して地域社会に行き、『明かりが欲しい?』と問えば、答は必ずイエスだからだ」と続ける。
同社が構築しているマイクログリッドを効果的に運用するためには、システムのすべての側面をエンドツーエンドで再構築する必要があった。ソーラーパネルは既製品を使っているが、スマートメーターや監視と管理をサポートするソフトウェアスタックは自作だ。
「これまで、同社は800kW(キロワット)の電力を作ったが、年内には1.5MW(メガワット)に達したい」とポインデクスター氏はいう。
農村地域のためのマイクログリッドは、ガーナとシエラレオネとナイジェリアでは政府の補助事業だ。現在、36のコミュニティと23000人に電気を届けている。今後5年間で受益者人口100万人を目指しているが、それでもこの大陸が必要としている電化のごく一部にすぎない。
ガーナではBlack Star Energy、シエラレオネではPower Leoneという2つの政府補助事業でEnergicityはシエラレオネで向こう20年間10万人に電力を供給し、ガーナでは民間事業としては最大のミニグリッドを同社が運用する。
これまでEnergicityの開発資金は政府の補助金がほとんどだったが「今後は営業に力を入れ、政府補助以外の財務モデルでプロジェクトを立ち上げたい」と同氏。
例えば、カーボンオフセットはプロジェクトを開発するための魅力的な仕組みであり、資金を得るためのコストも安い。ポインデクスター氏は「出資と融資の両方を利用しており、多くのプロジェクトが英国や国連などの援助機関から資金を得ている」と説明する。同社は電力の利用者から料金を徴収しているが、基本的な電化と携帯電話の充電用という家庭利用はkwh(キロワット時)あたり月額2ドル未満だ。
アフリカの消費者を狙っているソーラー事業者としては、M-kopaやeasy solarなどがあるが、ポインデクスター氏は「Energicityのマイクログリッドモデルのほうがコストが安い」と主張している。
直近の調達ラウンドにも参加して同社を支援している投資会社の1社でEcosystem Integrity Fundでマネージングパートナーを務めるJames Everett(ジェームズ・エベレット)氏は「Energicity Corpのような、抜本的な変化を目指す企業に投資できることは光栄である。西アフリカ全域にクリーンエネルギーの安価な利用を広げて行くことによって、経済成長と持続可能性と健康と人間開発が促進される。Energicityの初期的なリーダーシップとイノベーションにより、この偉大な企業とパートナーして成長を助けていきたい」と語っている。
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)